フロリダ銃乱射事件から1週間、生存者が惨劇の一部始終を語った
誰もが凍り付いたように動けなくなるなか、銃撃が続いた。そして、皆がいっせいに逃げ始めた。脚に3発の弾丸を受け、コロンさんは倒れた。人々は彼を踏み越えていった。「聞こえたのは続けざまに発射されるショットガンの銃声、そして助けを求める人々の叫び声だった」
マティーン容疑者は店内を突っ切りながら、サルサやメレンゲといったダンスミュージックに合わせて踊っていた人々に銃撃を浴びせていった。犠牲者の多くは、この最初の数分間の混乱のなかで命を失ったようだ。5分から10分のあいだ、容疑者は「あらゆる場所を撃ちまくった」とコロンさんは言う。
捜査官の後日の報告によれば、犠牲者の傷跡から見て、マティーン容疑者は両方の銃を使っていたとみられる。
客の一部は、建物の脇にあるパティオ部分へと抜けるドアから逃げ出し、屋外に避難した。通用口から逃げた人もいる。また一部はクラブのメインフロアとは壁を隔てた奥のエリアへと向かった。
マティーン容疑者は多くの人を何度も撃ち、「確実に殺そうとしていた」とコロンさんは語る。容疑者はコロンさんの頭部を狙ったが、弾丸は手に当たった。もう一発は尻をかすめた。
勤務時間外に制服を着てクラブの警備員として働いていた警察官は、外に停めた覆面パトカーの中で銃声を聞いた。彼はただちに応援を呼び、クラブの入り口に向かった。そこでマティーン容疑者と撃ち合いになったという。数分後、他の警察官も加勢し、銃撃戦は続いた。
街の反対側では、オレンジ郡緊急医療サービスシステムのクリストファー・ハンター准医長が午前2時15分頃、最大20人程度の銃撃による負傷者が出ているという緊急メッセージを受け取っていた。事実かどうか確信が持てなかったため、彼は通信指令係に電話して確認を取った。
ハンター准医長は、市内の主要な外傷治療施設であるオーランド地域医療センターに配置された。「ステータス・ブラック」というめったに使われない緊急コードのもとで、銃撃による負傷者と心臓発作を起こした患者を除くすべての患者は他の病院に回された。
病院では、外傷外科医のチャドウィック・スミス医師が、応援を呼び、他の医師たちを起こしていた。「『これは訓練ではない、冗談でもない』と私は言った。できるだけ早く、君たちの助けが必要だ、と」