フロリダ銃乱射事件から1週間、生存者が惨劇の一部始終を語った
マティーン容疑者が射殺されてしばらくは、壊された壁の破れた水道管から水が噴出し、遺体と負傷者が折り重なるトイレの床に、血の混じった水が溢れた。
カーターさんは友人たちを呼んだ。フィラデルフィアから3人でやってきた彼女らは、フロリダ休暇の最初の夜に、笑顔でダンスに興じていた。インターネットで楽しめそうなダンススポットを探して選んだ店だった。
彼女の仲間の1人、やはり20歳のティアラ・パーカーさんが彼女の呼び掛けに応えた。脇腹を撃たれたという。もう1人、いつも場を盛り上げていた18歳のアキラ・マレーさんはパーカーさんの膝に崩れ落ち、何も言わず動かなかった。
彼女たちと一緒に個室に逃げ込んでいた男性がマレーさんの脈を取り、まだ呼吸していると言った。まもなく、特殊部隊SWATの隊員がカーターさんを個室から引っ張り出し、腕をつかんで安全な場所に連れて行った。血まみれの床を引きずられていくとき、彼女はマレーさんの携帯電話を目にし、拾い上げた。
「まだ息をしている、脈は残っていると聞いたので、いずれ携帯を彼女に返せるだろうと本当に信じていた」とカーターさんは言う。
救急車のなかで救急隊員は血に染まったカーターさんの衣類を切り裂いた。右脚を傷つけた弾丸は左脚も貫通している、と彼らは言った。
その後、カーターさんはマレーさんが助からなかったことを知る。何十人もの負傷者とともに病院のベッドに横たわるカーターさんが書いた詩は「生き残ったことの罪悪感は重い」という言葉で結ばれている。
確実に殺そうとしていた
29歳のマティーン容疑者が入ってきたのは午前2時頃、ラストオーダーが終わり、「パルス」にいた客300人の多くが最後の1杯を飲み干すタイミングだった。ある警官の説明によれば、シグザウアーMCX型軍用ライフルとグロック9ミリ拳銃を装備していたという。
友人たちと抱き合って別れを告げていた26歳のエンジェル・コロンさんは、「ショットガンのような大きな発射音」を聞いた。