トランプ正念場、共和党の巨大スポンサー・コーク兄弟のご機嫌伺いへ
一方、これまで公式にトランプを支持していた共和党のマーク・カーク上院議員は、今週支持を撤回した。理由についてカークは、自身の軍隊経験から見てトランプには軍司令官としての資質がないと批判し、クリエル判事への攻撃を見ればトランプをもう支持することはできないと語っている。他の共和党指導部も、発言を自重して攻撃を控えるようトランプに求めている。
会談はヒラリーにとって格好の攻撃材料
トランプとコーク兄弟の会談のニュースは、予備選最終盤のこの絶妙なタイミングで報じられた。民主党のヒラリー・クリントンは候補指名を確実にし、本選モードへと選挙戦をシフトしつつある。対するトランプは、これまでのように自費で選挙費用を捻出し続けるのは次第に困難になりつつある。
トランプ人気を支える根幹の1つは、他の政治家と違って大富豪のトランプは「誰からも買われない」ことだった。
だがコーク兄弟との会談で、トランプのこの「神話」は崩れるかもしれない。トランプは、本選でクリントンに勝つためには10億ドルの選挙資金が必要だが、政治資金管理団体のスーパーPAC(政治活動委員会)を持たず、共和党の大口献金者からの支援も受けていないトランプには、これだけの資金を調達するのは至難の業だ、と言っている。
そしてこの会談は、間違いなく対抗馬ヒラリーに攻撃材料を与える。コーク兄弟は財力にモノを言わせて政治をゆがめるリベラル派の敵と言われており、トランプが彼らに近づけば民主党支持者にとって格好の攻撃対象になるからだ。