アメリカ=ベトナムが関係改善、南シナ海狙う中国の「頭痛の種」に
外交に依存
中国当局は今のところ、反応を示してはいない。
だが中国はベトナムが近代兵器を入手し、それらを南シナ海に配備することを注視していると、元外交官で、中国国際問題研究院の阮宋澤氏は指摘。「これが中国とベトナムの領有権問題に影響する可能性はない、とは言えない」と述べた。
中国本土の安全保障を専門とする嶺南大学(香港)の張泊匯教授は、ベトナムの政策立案者たちは近代的な中国軍には勝てないと分かっている故、中国と安定した関係を維持するためには外交に頼らざるを得なかったとの見方を示した。
オバマ大統領がベトナムを訪問した後でも、このような状況は今後も続くとみられると、張教授は指摘。同大統領のベトナム訪問を「最も安上がりな防衛手段」と評し、「ベトナムは米国を抑止戦力の強化に組み入れようとしている。中国との関係を深めるには、米国というカードを使わなければならない」と語った。
カムラン湾
米海軍当局者は、ベトナムへの寄港を徐々に増やしたいが、中国に圧力をかけ過ぎることに対するベトナムの懸念を承知していると話す。
ベトナム当局は、カムラン湾に外国艦船の寄港を受け入れる新たな国際港の開港を3月に発表した際、ベトナム軍の報道資料によれば、中国軍は正式な招待を受けた最初の外国軍の1つに含まれていた。
米海軍の入港は現在、長年計画されてきた正式な業務事項だが、米艦船がカムラン湾に定期的に寄港できるようにするには、提供協定が長期的な選択肢の1つだと、米軍当局者は語る。
安全保障専門家によると、例えば寄港が少し増えるだけでも、南シナ海における中国の活動を複雑化するという。中国は現在、スプラトリー諸島に建造した7つの人工島で進める軍民両用の施設建設に重点を置いている。
中国は自国の領土として、南シナ海の80%を主張。一方、台湾、フィリピン、マレーシア、ベトナム、ブルネイも、世界で最も重要な航路の1つである同海域の一部で、領有権を中国と争っている。