同胞の部屋探しを助ける、中国出身の不動産会社社長(後編)
私はいま、仕事の範囲でしか他人に影響を与えることはできないが、それでは全く満ち足りていない。プラスエネルギーを広く伝え、中日文化交流を促進するプロジェクトをいくつかやりたい。留学生の作文コンクールなどを続けていき、すぐれた作文は文集にして出版する。それをより多くの中国人に読んでもらい、中日両国の人々の相互理解と信頼を促進させたい。とくに中日関係が険悪化した今日、こうしたことをやるのは、いっそう意義深いと思う。
来日してからの長い年月を振り返ると、自分は社会の最下層から少しずつ成功へと歩んできたのだなと思う。もし当時出国していなければ、こんなに大きな「トレーニング」を受けることはなく、こんなに大きな変化も発生しなかった。もしも「日本によってもたらされた最大のものは何か」と尋ねられたら、「人生のトレーニングだ! 日本社会は、私の真と善への追求を手助けしてくれた」と答えるだろう。
善は私たち自身に備わるもの、真は私たちが日本人から学び取るもの。この真とはつまり真実、真摯、誠実さのこと。不動産業だけでなく、どんなことでも、私たちはまじめにやらなければならないのだ。
※シリーズ第1回:同胞の部屋探しを助ける、中国出身の不動産会社社長(前編)
『在日中国人33人の それでも私たちが日本を好きな理由』
趙海成(チャオ・ハイチェン) 著
小林さゆり 訳
CCCメディアハウス