潘基文の舌禍でこじれる西サハラ問題
「MINURSOが強制的に退去させられるか、国連安保理の定めた任務の遂行が不可能になったと判断した場合、停戦が破られ、敵意が再燃し、ひいては全面戦争にエスカレートするリスクが著しく高まる」──内部関係者が19日にロイターに見せた報告書で潘はそう警告し、安保理に任期延長を認めるよう要請している。この地域から国連が撤収すれば、力の空白に乗じて「テロリストや過激な分子」が台頭するおそれがあるとも、潘は指摘している。
アルジェリアには先住民の難民が9万人
潘は「占領」発言を撤回はしていないが、「とっさに」出た言葉で「誤解」を招いたことを遺憾に思っていると、国連報道官が釈明した。国連によれば、潘が視察したアルジェリア西部の砂漠の都市ティンドゥフ近郊の難民キャンプには西サハラから逃れてきた住民約9万人が暮らしている(アルジェリア政府は16万5000人と発表)。
モロッコ政府は態度を硬化させたままで、潘の発言はポリサリオ戦線側に肩入れした「意図的」な発言だと抗議している。
西サハラはモロッコ、アルジェリア、モーリタニアに囲まれた26万6000平方キロ、アメリカのコロラド州ぐらいの広大な土地で、先住民の人口は約57万人。沖合には未開発の油田があると見られている。