最新記事

中国経済

中国景気は底打ちか、追加緩和の行方に賛否

3月の製造業景気指数が予想を上回るなど回復の兆し

2016年4月20日(水)10時44分

 4月18日、中国経済に回復の兆しが表れている。指導者も景気底打ちに対する自信を強めているが、政策顧問からは金融緩和サイクルの終了を唱えるのは時期尚早との声が聞かれる。写真は中国の国旗。北京で2013年4月撮影(2016年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

 中国経済は第1・四半期の国内総生産(GDP)成長率が2009年初頭以来の低い伸びとなった一方で、3月製造業購買担当者景気指数(PMI)が予想を上回るなど第2・四半期に向けて回復の兆しが表れている。指導者も景気底打ちに対する自信を強めているが、政策顧問からは金融緩和サイクルの終了を唱えるのは時期尚早との声が聞かれる。

 景気回復の兆候が表れたことで中国人民銀行(中央銀行)はとりあえず政策を温存する余地を確保し、将来の経済改革や米利上げでショックが発生した場合に対処は可能だという。

 ある政策顧問は「引き続き緩和政策が欠かせず、利下げ余地はある。ただ、そうした政策を実施する緊急度は薄れた」と話した。

 15日の金融市場では、堅調な統計をはやすことはなく、むしろ政府の追加対策が緩むとの思惑から主要な株価指数は低下した。

 政府のエコノミスト3人は、中銀は年内に預金準備率を3回ないし4回引き下げ、政策金利を少なくとも1回引き下げると引き続き予想している。

 昨年と今年初めに金融市場が動揺し、政策判断は難度が高まった。中国の指導者は積極利下げで人民元に対する売り圧力が再燃し、新たな資本流出を招くのではないかとの危惧を抱いている。

 政府系有力シンクタンクのエコノミストは「インフレ上昇で追加利下げの余地は小さくなった。資本の流出は鈍っているが、預金準備率の引き下げがすぐに行われることはないだろう」と述べた。

 実際、中銀は特別融資など他の手段を経済改革に伴う痛みを和らげるために導入することが可能だ。

 復旦大学経済学院のZhang Jun院長は「中銀は流動性を押し上げ、借り入れコストを下げたいと考えており、(利下げなどの政策が)実施される可能性はある。しかし中銀には多くの手立てがあり、新たな政策ツールも開発されている」とした。

景気は底打ちか

 指導者は景気についてこれまでより強気の見方を示しており、李克強首相も8日、第1・四半期に改善の兆候が表れていると述べた。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

日経平均は続落で寄り付く、円高が重し 主力株安い

ワールド

パキスタン、元首相の釈放を求める抗議デモ激化 数百

ビジネス

インテルに78.6億ドルの半導体補助金、米政府が最

ワールド

レバノン北部のシリア国境に初のイスラエル空爆と閣僚
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老けない食べ方の科学
特集:老けない食べ方の科学
2024年12月 3日号(11/26発売)

脳と体の若さを保ち、健康寿命を延ばす──最新研究に学ぶ「最強の食事法」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳からでも間に合う【最新研究】
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    放置竹林から建材へ──竹が拓く新しい建築の可能性...日建ハウジングシステムの革新
  • 4
    リュックサックが更年期に大きな効果あり...軍隊式ト…
  • 5
    こんなアナーキーな都市は中国にしかないと断言でき…
  • 6
    早送りしても手がピクリとも動かない!? ── 新型ミサ…
  • 7
    「健康食材」サーモンがさほど健康的ではない可能性.…
  • 8
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 9
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 10
    トランプ関税より怖い中国の過剰生産問題
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 4
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 5
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 6
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳か…
  • 7
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 8
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中