同胞の部屋探しを助ける中国出身の不動産会社社長(前編)
不動産業についていえば、日本の最大の特徴は「真」だろう。つまり彼らがお客に提供するものは、いずれも確かでうそ偽りがない。わが社ではそうした「真」のサービスに加え、手がける物件はいずれも私自身が実施調査をおこなっている。というのも、ふつう中国人客は、物件そのものの状態のほか、さらに詳細な状態を知りたがるからだ。たとえば、水道管や電気回路は何年交換していないか、万が一にも地震があれば、周囲にどんな避難所があるか、などなど。これらについては実情を把握して、問い合わせには必ず答えるようにしている。
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ここ数年、大陸や香港、台湾などから来日した大勢の人が不動産に投資しており、不動産購入後のレンタルや管理などの問題におよんでいる。これについては、わが社のレンタル管理部門が相応の調整をおこなっている。
外国からの投資家のために私たちが手がけることは――テナント・借家人が退去する際、家主の代わりに現場をチェックしたり、空き部屋の内装のリフォームをしたり、入居者の募集、入居審査、居住中の管理、毎月の家賃の代行徴収、ビル管理会社からの各種連絡、管理費の代理納付をすること。さらに、国税庁からの固定資産税通知の受理と税金の代理納付、月に1度の家主への決算報告などもおこなっている。つまり、私たちはアフターサービスまで一貫して手がけているのだ。
住宅の購入は、どのお客にとっても大ごとであり、白菜を買って嫌になれば捨てるのとはわけが違う。きわめて重大なことなので、必ず熟考しなければならない。それで会社のスタッフには「接客する際、住宅を購入する人の立場に立ってみれば、お客様のどんな要求も不当ではない。値引きをしてほしいとか、あれやこれやの要求ももっともなことだ」と、よくいっている。
とはいえ、時にはわが社のお客が再三、物件の値引きを求め、その間に他の人に購入されてしまうこともある。こうしたことは珍しくはない。家主は買い手に誠意があると思えば、売ってくれるだろう。われわれ中国人は、言い値を値切らないと損をすると思うし、売るほうも値引きを前提に吹っかけるのが普通だ。日本の住宅価格はわりに安定していて、何年も大きな変化はないし、しかもうそやごまかしがないのだ。値段によって質も異なるのは、当然のことだ。
※シリーズ第2回:同胞の部屋探しを助ける、中国出身の不動産会社社長(後編)
『在日中国人33人の それでも私たちが日本を好きな理由』
趙海成(チャオ・ハイチェン) 著
小林さゆり 訳
CCCメディアハウス