中国、豪華さより実用性、自家用ジェットもエコノミーに
景気低迷や政府の進める反腐敗運動の影響で、個人ジェットは実利型へ
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4月12日、中国の富裕層やビジネスエグゼクティブ向けの自家用ジェット機は、豪華さから実用性重視にシフトしている。写真は上海虹橋国際空港で開催されたアジア・ビジネス航空ショー (2016年 ロイター/Aly Song)
中国の景気低迷や習近平国家主席の進める反腐敗運動の影響で、中国の富裕層やビジネスエグゼクティブ向けの自家用ジェット機は、豪華さから実用性重視にシフトしている。顧客はより小型の飛行機を好み、中古機やチャーター機の利用も増えつつある。
中国でこれまで自家用ジェット機といえば、風水師が機内のデザインを手がけたり、麻雀用のテーブルやカラオケ機材を備えるなど、豪華さが求められていた。それが最近では、仕事ができる機能的な机や寝るためのスペースなどが重視され、「実用性」が業界の合言葉となっている。
コンサルティング会社、アジア・スカイ・グループによると、2015年に大中華圏で個人が所有するジェット機は466機で、2007年の65機から大幅に増加した。このうち中国本土での所有が300機を占める。
自家用機所有は増えているものの、新しい航空機の需要は低迷している。そのため、カナダのボンバルディアやブラジルのエンブラエル、仏ダッソー・アビアシオン、米ゼネラル・ダイナミクス傘下のガルフストリームなど航空メーカーは、効率性を優先し、生産コスト削減や納期の短縮化を進めている。
米テキストロンの中国ビジネス開発部門幹部、ビル・シュルツ氏は「中国経済は低迷しており、政治的な影響もあり、ジェット機の販売に影響が出ている」と語る。
反腐敗運動の影響
過去3年、習近平国家主席が進めてきた反腐敗運動で、高級ワインや宝石、高級車、ヨットなどの販売は落ち込んでいるが、自家用ジェット機も例外ではない。
ある自家用機販売の仲介業者によると、10年前にビジネスジェット機を購入したら、それを他の人に見てもらおうとする人が多かったが、今は当局の反腐敗運動を恐れ、なるべく目立たないようにしているという。