機密のベールを脱いだ北朝鮮の核開発プログラム、情報開示の真意は?
こうした主張が示唆するのは、同国が3月の国連制裁や、米国などからの厳しい警告にもかかわらず、ペースを鈍化する気がないことだ、と米国在住で、国際戦略研究所(IISS)のミサイル専門家マイケル・エレマン氏は語る。
「こうした情報開示や表明、そして『実験』は、米国本土を脅かす核搭載長距離ミサイルを、北朝鮮がすでに保有、あるいはもうすぐ保有するとの物語を構築するためのキャンペーンの一環のようにみえる」と同氏は指摘。「こうした開示が、たとえ本当であったとしても、核能力開発を目的とした計画の一部だろう。疑問なのは、こうしたテストはどの程度リアルなのかということだ」
同国のこうした活動は、北朝鮮が弾道ミサイル技術を含めた計画に関わることを禁じた制裁の執行を担当する国連の専門家によって、厳しく監視されることになる。
懐疑派を説得か
国際的な兵器専門家の間では、北朝鮮の能力が従来考えられていた以上に進化しているとの観測が広がっている。まだ原始的でも、操作可能なICBMを、今後10年間の後半にも北朝鮮が保有する可能性があると、北朝鮮の兵器計画に詳しい米政府関係者は語る。
懐疑主義に打ち勝ち、近隣国や米国の警戒を高めるのことが、北朝鮮が意図する効果かもしれない。特に、5月の労働党の党大会を控えた、国内向けプロパガンダとしての重大な価値もある、とソウルにある北朝鮮大学の梁茂進教授は述べた。
「普通の軍隊にとっては、武器開発は機密扱いであるのが当然だ。しかし、金正恩第一書記は何年も韓国や米国に自らの軍隊を抑えられてきた。そのため、彼は自らが望む潜在的な脅威を最大にしたいと思っている」と同教授は述べた。
最近のICBMのエンジン燃焼試験は、3月の固体燃料ロケットエンジンの試験と、弾道ミサイルの大気圏再突入に関する試験に続くものとなった。
金正恩氏は、5回目となる新たな核実験の実施を公言している。経済開発と核開発能力という2つの政策を発表するとみられる議会開催に先駆けて核実験が行われると言うアナリストもいる。