最新記事

核兵器

機密のベールを脱いだ北朝鮮の核開発プログラム、情報開示の真意は?

「北朝鮮脅威論」の神話を国内外に作りあげるプロパガンダの一環か

2016年4月15日(金)11時04分

4月12日、北朝鮮は国際社会からの制裁にもかかわらず、長距離核ミサイルの開発を推進する姿勢を誇示している。写真は北朝鮮国内の機械工場を視察する金正恩第1書記。写真はKCNAが4月提供(2016年 ロイター)

 北朝鮮は5月に開催する異例の労働党大会に先立ち、兵器開発計画の詳細を初めて公開した。国際社会からの制裁にもかかわらず、長距離核ミサイルの開発を推進する姿勢を誇示している。

 最近まで北朝鮮の武器計画についての情報は入手することが困難だった。外国政府や専門家はこれまで、衛星写真や核実験後に収集された極微量の原子の粒子、さらには長距離ロケットの発射後に回収された部品と材料の残骸に頼ってきた。

 しかし、もはやそれらは必要ない。わずか1カ月余り前、北朝鮮は色鮮やかな写真付きで、核弾頭を搭載した大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発に向けた急ピッチな試みを示す、各種の実験や他の活動についての記事を公表した。

 こうした情報開示の理由について、多くのアナリストは、北朝鮮が自身の核開発能力について世界と自国民に理解させることが、核能力自体よりも重要だと思っているとみている。それにもかかわらず、孤立する北朝鮮の真の能力と意図は依然として不明だ。

「北朝鮮が、地上試験活動の接近写真を提供するのは、ほとんど前例のないことだ」。衛星や、ロケット打ち上げ機の推進システムを専門とする航空宇宙エンジニアのジョン・シリング氏は、ロイターに対しこう述べた。

「この開放性は、根本的な戦略が軍事的なものであると同時に外交的なものであることを意味している」と同氏は語る。「同国にとって重要なのは、こうした能力を持っていることだけでなく、能力を持っていると私たちが信じることだ」

 北朝鮮は過去10年間に4回、直近では1月に核実験を実施している。

 北朝鮮の国営メディアは9日、新型ICBMエンジンの燃焼実験に成功したと報じた。公開された写真を専門家が分析したところ、旧ソ連の中距離弾道ミサイル「R-27」の2つのエンジンが束ねられ、2カ所から排気プルーム(煙)を噴出していた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

インフレなおリスク、金利据え置き望ましい=米アトラ

ビジネス

トヨタ、米に今後5年で最大100億ドル追加投資へ

ワールド

ウクライナ・エネ相が辞任、司法相は職務停止 大規模

ワールド

ウクライナ・エネ相が辞任、司法相は職務停止 大規模
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 2
    ファン激怒...『スター・ウォーズ』人気キャラの続編をディズニーが中止に、5000人超の「怒りの署名活動」に発展
  • 3
    炎天下や寒空の下で何時間も立ちっぱなし......労働力を無駄遣いする不思議の国ニッポン
  • 4
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 5
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 6
    ついに開館した「大エジプト博物館」の展示内容とは…
  • 7
    冬ごもりを忘れたクマが来る――「穴持たず」が引き起…
  • 8
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 9
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 10
    「麻薬密輸ボート」爆撃の瞬間を公開...米軍がカリブ…
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 4
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 5
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 6
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 10
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中