中国の鉄鋼生産、供給過剰解消までの長い道
現在も新たな工場が稼働を始めているのが現状で、中国鉄鋼工業協会(CISA)は、生産能力はことしさらに増えると予想している。
CISAの幹部は、既存の製鉄所は価格が少しでも上がると生産を増やすという「悪循環」にはまっていると指摘。生産増加、価格切り下げによってライバルを蹴落とす競争が繰り広げられていると説明した。
政府は大手10社に生産能力の60%を集中させる目標を掲げたが、これも裏目に出ている。中規模の製鉄所は他社に飲み込まれるのを避けようと、事業拡張に精を出すようになったからだ。
地方政府の抵抗
李克強首相は11日、余剰生産に切り込む意向をあらためて示した。
しかし中央政府の計画は、地方政府の強い抵抗に遭っている。地方政府は大量の失業者が出る可能性と、膨張を続ける鉄鋼メーカーの債務に脅えて「ゾンビ」製鉄所を支援し続けているのが実情だ。
中国労工通信のコミュニケーション・ディレクター、ジェフリー・クロサール氏は、「製鉄施設の閉鎖は地域全体の閉鎖を意味する。だから政府としては、廃業に追いやって終しまい、というわけにはいかない」と述べた。
(David Stanway記者)
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