ウェイトレスに軍大佐、次の「脱北」は裕福なハッカーか
レストラン従業員13人の集団脱北や、対南工作機関大物幹部の韓国亡命が明らかになったが、アジア各地のIT企業に潜む北朝鮮のサイバー戦士たちも脱北予備軍だ
脱北するのは貧しい人民だけではない 今月8日、外貨稼ぎの柱である北朝鮮レストランの従業員ら13人が集団脱北して韓国入りしたニュースは驚きをもって受け止められた(中朝国境の町、遼寧省丹東の北朝鮮レストラン、2009年) Jason Lee-REUTERS
今月8日、北朝鮮の外貨稼ぎの柱である北朝鮮レストランの従業員ら13人が集団脱北し、韓国へ入国したことが明らかになった。さらに、北朝鮮の対南工作機関に所属していた大佐が昨年、亡命していたことが韓国政府によって明らかになった。
(参考記事:北朝鮮レストラン「集団脱北事件」...原因は中朝関係者間のトラブル?)
韓国政府がこのような情報を立て続けに公表する裏には、4月13日投開票の韓国総選挙を前にして、朴大統領が北朝鮮に対する独自制裁の効果をアピールしながら、保守層の票固めを狙ったものという見方もある。いずれにせよ、核・ミサイルに端を発した現時点での南北対立は軍事面、心理戦、宣伝戦など、あらゆる面において韓国が押し気味に進めているように見える。
とはいえ、北朝鮮も防戦一方というわけではない。3月初めには、GPSへの妨害電波を発信。それだけでなくフェイスブックを通じたサイバー攻撃「ハニートラップ」まで駆使しながら、攻勢に出る機会を虎視眈々と狙っている。
(参考記事:韓国要人に「美女攻撃」...北朝鮮サイバー部隊)
北朝鮮は、これまで何度か韓国にサイバー攻撃を仕掛け、それなりに打撃を与えており、決して侮るべき存在ではない。実際に攻撃を行う「サイバー戦士」の多くは、北朝鮮一の金策工業総合大学の出身者であり、韓国のIT関係者や情報機関によると、極めて優れたITエンジニア揃いだと知られている。