最新記事

2016米大統領選

トランプ旋風支える「影のブレーン」

2016年4月11日(月)10時45分

 これは、69歳になるトランプ氏にとって役立つかもしれない。これまで公職に就いたことのなかった同氏は10カ月前、大統領選の指名争いに加わった。しかし、同氏の選挙キャンペーンは、女性やイスラム教徒、移民や一部の共和党の忠誠者らに対する攻撃的な言葉が物議をかもしており、波乱含みだ。

 トランプ氏に近い複数の関係者によれば、クシュナー氏は、トランプ氏に対し、時にはもっと従来型の候補者のように振舞うことを促し、政治家や昔ながらの援助資金供与者との関係構築の大切さを強調したという。

 また、クシュナー氏は、トランプ氏と親交のない実力者との懸け橋として、自身のメディア王ルパート・マードック氏や億万長者のロナルド・ペレルマン氏といった人々との友好関係を利用できると関係者は語る。マードック氏とペレルマン氏からはコメントは得られなかった。

イスラエルコネクション

 クシュナー氏は正統派ユダヤ教徒であり、妻のイバンカさんも結婚前にユダヤ教徒に改宗している。クシュナー氏と同氏の家族はイスラエルとのつながりがある。

 義理の父親同様、有名な不動産デベロッパーであるクシュナー氏は、アメリカ・イスラエル公共問題委員会(AIPAC)の不動産委員会の後援者として昨年の報告書に名前を連ねている。少なくとも3万6000ドル(約400万円)をこの親イスラエルのロビー団体に寄付したことになる。

 クシュナー氏の両親は2年前、エルサレムの医大に2000万ドルを寄付した。このキャンパスには彼らの名前が付けられた。

 関係者によると、トランプ氏が昨年イスラエルへの訪問を計画した際に、クシュナー氏は、家族やビジネス上のつながりを生かし、さまざまな会合をアレンジしたという。

 しかし、イスラエル行きは実現しなかった。イスラム教徒の入国禁止を提唱したトランプ氏の発言を、イスラエルのネタニヤフ首祖が非難したことで、計画は中止された。

 後にトランプ氏は、大統領に当選すれば、パレスチナとイスラエルの紛争では、中立的な立場をとることで、和平交渉に資すると発言しているが、これはイスラエル寄りの有権者の支持を求める米国の政治家としては異例に中立的なものだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル首相「レバノン停戦を確実に履行」、安保閣

ワールド

カナダ首相、米関税巡り州と協議へ トランプ氏主張に

ビジネス

米ベスト・バイ、通期業績予想引き下げ 家電需要の低

ワールド

トランプ関税、インフレを悪化させ雇用を奪う=メキシ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老けない食べ方の科学
特集:老けない食べ方の科学
2024年12月 3日号(11/26発売)

脳と体の若さを保ち、健康寿命を延ばす──最新研究に学ぶ「最強の食事法」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳からでも間に合う【最新研究】
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    こんなアナーキーな都市は中国にしかないと断言できる!?──重慶市の通勤風景がtiktokerに大ヒット
  • 4
    早送りしても手がピクリとも動かない!? ── 新型ミサ…
  • 5
    放置竹林から建材へ──竹が拓く新しい建築の可能性...…
  • 6
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 7
    バルト海の海底ケーブル切断は中国船の破壊工作か
  • 8
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 9
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 10
    トランプ関税より怖い中国の過剰生産問題
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 4
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 5
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 6
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳か…
  • 7
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 8
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中