トランプ旋風支える「影のブレーン」
これは、69歳になるトランプ氏にとって役立つかもしれない。これまで公職に就いたことのなかった同氏は10カ月前、大統領選の指名争いに加わった。しかし、同氏の選挙キャンペーンは、女性やイスラム教徒、移民や一部の共和党の忠誠者らに対する攻撃的な言葉が物議をかもしており、波乱含みだ。
トランプ氏に近い複数の関係者によれば、クシュナー氏は、トランプ氏に対し、時にはもっと従来型の候補者のように振舞うことを促し、政治家や昔ながらの援助資金供与者との関係構築の大切さを強調したという。
また、クシュナー氏は、トランプ氏と親交のない実力者との懸け橋として、自身のメディア王ルパート・マードック氏や億万長者のロナルド・ペレルマン氏といった人々との友好関係を利用できると関係者は語る。マードック氏とペレルマン氏からはコメントは得られなかった。
イスラエルコネクション
クシュナー氏は正統派ユダヤ教徒であり、妻のイバンカさんも結婚前にユダヤ教徒に改宗している。クシュナー氏と同氏の家族はイスラエルとのつながりがある。
義理の父親同様、有名な不動産デベロッパーであるクシュナー氏は、アメリカ・イスラエル公共問題委員会(AIPAC)の不動産委員会の後援者として昨年の報告書に名前を連ねている。少なくとも3万6000ドル(約400万円)をこの親イスラエルのロビー団体に寄付したことになる。
クシュナー氏の両親は2年前、エルサレムの医大に2000万ドルを寄付した。このキャンパスには彼らの名前が付けられた。
関係者によると、トランプ氏が昨年イスラエルへの訪問を計画した際に、クシュナー氏は、家族やビジネス上のつながりを生かし、さまざまな会合をアレンジしたという。
しかし、イスラエル行きは実現しなかった。イスラム教徒の入国禁止を提唱したトランプ氏の発言を、イスラエルのネタニヤフ首祖が非難したことで、計画は中止された。
後にトランプ氏は、大統領に当選すれば、パレスチナとイスラエルの紛争では、中立的な立場をとることで、和平交渉に資すると発言しているが、これはイスラエル寄りの有権者の支持を求める米国の政治家としては異例に中立的なものだ。