トランプ旋風支える「影のブレーン」
先月のワシントンでのAIPAC年次総会に先立ち、クシュナー氏はトランプ氏に対し、ユダヤ人コミュニティーとの関係を円滑にするための具体的な政策を示すよう助言したと2人の関係者が明らかにした。さらに、普段の語りかけるスタイルを捨て、演説ではテレプロンプターを使うようアドバイスしたという。
AIPAC総会でのトランプ氏の演説前に、イスラエル政府の立場を伝えようとした駐米イスラエル大使のロン・ダーマー氏からの電話に対応したのもクシュナー氏だったという。ダーマー氏の事務所はコメントを避けた。
トランプ氏は結局、1万8000人の会議参加者に対して、概ねAIPACの方針に沿った施策方針について、いつになく詳細な演説をした。AIPACの広報担当者はコメントを避けた。
トランプ氏は聴衆に対し、パレスチナは、教育制度からイスラエルへの憎悪を拭い去るべきだと主張し、公共施設にイスラエルを攻撃した者の名前を付けることはやめるべきだと語った。
また、イスラエルとパレスチナの和平交渉では、米国はイスラエル側に立つと表明。国連が自らの意思をイスラエルに押し付けようとすれば抵抗すると述べた。米国とイランの核合意についても、イスラエルにとって好ましくないとして非難した。
家族の絆
舞台裏で発揮されている影響力にもかかわらず、クシュナー氏は選挙戦においては控えめな態度を保っている。昨年11月に行われたサウスカロライナ州での選挙集会では、他の家族が壇上に上がっても、トランプ氏に呼ばれるまで姿を見せなかった。
「ジャレッドはどこだ。ジャレッドはここに来なさい」とトランプ氏が叫び、チャコールのズボンに黒いダウンベストを着たクシュナー氏が、ポケットに手を入れ、足を引きずるようにして現れた。
「ジャレッドは、大いに成功したデベロッパーで、彼はいま政治を愛している」とトランプ氏は述べ、はしゃいで、からかうように続けた。「彼を見ろ。彼の着こなしを見たか」
(Emily Flitter記者 翻訳:高橋浩祐 編集:下郡美紀)