トランプ旋風を生んだ低俗リアリティ番組「アプレンティス」
ドナルド・トランプのリアリティ番組「アプレンティス(弟子)」は、2004年から続いてきた人気番組。実業家としての成功を夢見る若者たちから応募者を募り、審査で選ばれた16人がトランプの会社で様々な課題に挑み、最後に残った1人をトランプが採用する、というもの。2004年1月8日の初回放送は、トランプらしい馬鹿げたものだった。
ニューヨーク。私の街。グローバル経済の歯車が回り続ける街。ビジネス世界を駆り立てる比類なき力と目的を持った、コンクリートのメトロポリス。マンハッタンはタフな街だ。マンハッタンは弱肉強食の世界だ。
注意していなければ、かみ砕かれて吐き出されてしまう(カメラがベンチで寝ているホームレスを映し出す。ビジネス的に敗れた男なのだろう)。だが、懸命に働けば大成功を収めることができる。桁外れの成功だ(ここでトランプの豪邸が映る)
私の名はドナルド・トランプ。ニューヨークで一番の不動産開発業者だ。だが、常に順風満帆だったわけではない。13年前は深刻な状況に陥っていた。多額の負債を抱えていたのだ。しかし私はその苦境と戦い、勝った。大実業家の地位を得た。
私はビジネスが何たるかをマスターし、「トランプ」という名を最高級ブランドに仕立て上げた。そして今、ビジネスの名人として、その極意を誰かに伝えたいと思う。私は探しているのだ。アプレンティス(弟子)を。
個人的には見るに堪えない番組だ。私は共和党大会を3度取材した。だがアプレンティスを見るほうがはるかに辛い仕事だった。番組を見れば分かってもらえると思うが、政治に関心をもつ人たちが見るような番組ではない。
それが、見落とされがちな理由だ。