韓国が民主主義から遠ざかる
そのため、ごく普通の反政府の動きだけでなく、一般市民の些細な行動まで取り締まりの対象になるのではないかという不安をかき立てている。過去のNISの活動を思い起こせば、そう思われても仕方ない。
反テロ法の意義は分かりやすい。政府は民主主義を維持するのに重要な価値観より、反体制派を取り締まったり、個人の自由を制限するほうに関心があるということだ。
【参考記事】韓国がもくろむ時代錯誤の「核武装論」
政権成立に力を貸した情報機関は、さらに政府を支援しようとする。国民が反政府の視点を持ったとしても、この法律があればテロ容疑者として起訴されたり取り調べを受ける不安から、行動を自粛するかもしれない。
こうした政権に対する審判は間もなく下される。朴大統領就任以来、初の総選挙が来月に行われるからだ。亀裂が深刻化している野党や反体制派にとって、国民に訴え掛ける大きな機会になるだろう。
朴が推し進める過去への後退に賛成するか、あるいはアジアの主要な民主主義国家として再び前進していくのか──韓国の国民にとっても、意思を表明する初めての機会になる。
From thediplomat.com
[2016年3月22日号掲載]