景気減速の中国、消費者の節約志向が招く「修羅場」
豪ウエストパック銀行による最近の消費者調査では、消費者のセンチメントは昨年10月以降で最も低かった。「2月の最新データは、引き続き弱い状況を示しており、失業懸念の高まりが再び消費者のムードに重くのしかかっている」と、同銀のシニアエコノミスト、マシュー・ハッサン氏は語った。
ハッサン氏はまた、消費者需要が勢いを失えば、成長がさらに長く低迷するリスクが高まると指摘した。
生存競争
一方、一部の企業はそのような消費低迷をものともしない。
米コーヒーチェーン大手のスターバックス、スポーツウエア大手のナイキやアディダスのような「手ごろなぜいたく」を提供する国際的なブランドは依然として業績を伸ばし続けている。アディダスは同社のビジネスに対する影響は見られないとし、2020年末までに中国で新たに約3000店舗を展開する計画だ。
しかし、中国の景気減速は小売業に打撃を与え、多くの企業は事業の縮小や成長著しい小都市への重点的な取り組み、さらなる値引きを余儀なくされていると、業界幹部や消費財メーカーは指摘する。
「消費の場がオンラインや小さな店に移るなか、対応に苦慮している」と、ある外資系大手消費財メーカーの販売担当幹部は語る。「修羅場に直面している」と同幹部は言う。
この幹部の話では、一部の小売業者の在庫水準は、通常の平均である約2週間分から9カ月分にまで急増したという。
このことは、小売業者と消費財メーカーの双方にとって、宣伝方法を再検討する必要があることを意味している。中国に拠点を置く広告会社の幹部によれば、一部の企業は二重のマーケティング戦略を採用しているという。富裕層をターゲットとする高級な外国製品を展開すると同時に、人気があり価格が手ごろな中国ブランドを買収することだ。
英日用品メーカーのレキット・ベンキーザーの最高経営責任者(CEO)は先月、中国企業の買収により同国で販売する喉の痛みに効く市販薬は「ローカルヒーロー」だと語った。
警告のサイン
すでに今年、弱い消費者需要のせいで、中国に重点を置く消費財メーカーの業績は大幅な下方修正を迫られている。