新興国市場株の「隠れた原石」企業、十把一絡げに売られ割安に
「逆張り」投資家はトルコやブラジルなど、低調な市場に大きな掘り出し物を探す
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3月16日、インド、ブラジル、トルコなどの新興国にはコモディティ価格の下落によって恩恵を受ける業種も少なくないが、新興国市場全体の低迷につられて株価が下落し、割安感が生じている場合が多い。写真はムンバイで2月撮影(2016年 ロイター/Shailesh Andrade)
インド、ブラジル、トルコなどの新興国にはコモディティ価格の下落によって恩恵を受ける業種も少なくないが、新興国市場全体の低迷につられて株価が下落し、割安感が生じている場合が多い。
新興国株は5年連続で先進国株に比べてアンダーパフォームしているため、投資家はこうした「隠れた原石」も十把一絡げに売ってしまう傾向が強いのかもしれない。
ここ数カ月、新興国市場株はエネルギー価格と足並みをそろえて動く傾向にある。石油価格が急落すれば売り込まれ、少し上がれば少し反発するといった具合だ。しかしMSCIの新興国株式指数<.MSCIEF>を構成する企業の株式時価総額で見ると、4分の3はコモディティ輸入国に属している。
投資家は良い企業も悪い企業と一緒に売ってしまう。EPFRグローバルのデータによると、3月9日までの1年間に新興国株式ファンドから差し引き75億ドルが流出した。
BNPパリバ・インベストメント・パートナーズの新興国市場ストラテジー統括、パトリック・マンジュ氏は「業績の良い企業であっても、資金流出やリスクオフの影響を免れない」と語る。
航空、自動車、白物家電などエネルギー安の恩恵が最も大きいセクターは30─40%の増益を記録しているにもかかわらず、株価動向はまだら模様といったところ。好業績を発表した直後には上昇するが、新興国市場全体が下がると上昇を維持できなくなる傾向がある。
モディ改革への期待
こうした中でもインド株はモディ政権の改革への期待に支えられ、既に数年ぶりの高値で推移しているため、上昇余地が限られそうだ。
例えば大手航空会社ジェット・エアウェイズは四半期決算で過去最高益を発表した後に急上昇したが、1月につけた5年ぶり高値を下回る水準で推移している。