北朝鮮のシリア・エジプト武器コネクションが制裁対象に
アメリカが対北制裁を強化、新たな制裁対象には北朝鮮の兵器ビジネスを担う秘密警察・国家安全保衛部の要員2人が含まれている
兵器ビジネスの得意先 武器を販売するなど、シリアとの関係は密接で、シリアのアサド大統領と金正恩第一書記は頻繁にエールを交換し合ってきたとされる(シリアのダマスカスに到着した北朝鮮の金永南・最高人民会議常任委員長を迎えるアサド大統領、2002年) Sana-REUTERS
オバマ米大統領は16日、北朝鮮への制裁を強化するため新たな大統領令を出した。1月6日の核実験や2月7日の事実上の長距離弾道ミサイル発射を受けたものだ。財務省はこれを受け、北朝鮮の2個人・15組織・船舶20隻を新たに制裁対象に指定した。
中でも注目されるのは、個人として制裁指定された2人の人物の素性だ。いずれも秘密警察・国家安全保衛部の要員であり、それぞれの駐在国であるシリアとエジプトで、北朝鮮の武器取引を担う「朝鮮鉱業貿易開発会社(KOMID)」のビジネスに携わっているという。
なぜ、彼らに対する制裁指定が重要なのか。理由はふたつある。ひとつは、シリアとエジプトが北朝鮮の兵器ビジネスの得意先であるため。もうひとつは、米国が北朝鮮に対する独自制裁で、「セカンダリーボイコット」(第三者制裁)条項を盛り込んでいるためだ。
北朝鮮はかつて、エジプトとシリアに空軍を派遣。中東戦争でイスラエル軍と戦っており、その後も両国に様々な武器を販売してきた。とくにシリアとの関係は密接で、金正恩第一書記とアサド大統領は頻繁にエールを交換し合っている。
(参考記事:第4次中東戦争が勃発、北朝鮮空軍とイ スラエルF4戦闘機の死闘)
(参考記事:北朝鮮の弾道ミサイル開発は空軍のエジプト派遣から始まった)
米国は昨年12月にも、シリアやロシア、ベトナムで活動する北朝鮮の銀行幹部を制裁に指定している。いずれも北朝鮮の友好国であり、これらの国が制裁の「抜け穴」になっているものと疑ったのかもしれない。
しかし、このときと比べても、今回の新たな制裁指定は重要だ。