最新記事

中国経済

ハイテク温水便座から食堂まで、中国の何でもアリな「供給側改革」

2016年3月14日(月)20時40分

 中国のスマートフォンメーカー、小米科技(シャオミ)の雷軍最高経営責任者(CEO)はこのほど記者団に対し、供給側改革は中国企業が輸入品と競合できる製品をつくれるようになることを意味していると述べた。

 価格統制を認めることを意味するとの声もある。江西省衛生計画出産委員会の李利主任は、診療報酬引き上げをいかに素早くコントロールするかが供給側改革の典型的な例として挙げた。

 しかし、前出のエバンス=プリチャード氏は「これは中央政府が打ち出している供給側改革ではない」と指摘。中国政府は経済活動における政府の役割を減らし、資本主義をより推し進めようとしていると説明する。

全人代代表の方便に

  中国政府はこれまで、産業における過剰設備を解消するとともに、新しい産業が必要な資本を獲得できるようにし、市場原理の役割を高めると約束している。

 一方で、大規模な失業を回避し、国有企業に対する支配を維持するほか、緩和的な金融政策を継続するとしている。

 複数の関係筋がロイターに明らかにしたところによると、中国は向こう2─3年で、国有企業で500万─600万人のレイオフを目指している

しかし、全人代の会合では、斜陽産業で数百万人のレイオフが必要なことを説明するのに「供給側改革」の言葉を使用した代表は誰もいない。この言葉のあいまいさは、全人代代表が自らの計画を訴えるための方便として利用されているのかもしれない。

 クレディ・スイス(香港)のエコノミスト、陶冬氏は「誰も供給側改革を定義していない。正確な定義を知らなければ、地方政府の定義が間違っているとは言えない」と述べた。

 (Sue-Lin Wong記者 執筆協力:Kevin Yao, Xiaoyi Shao and Pete Sweeney 翻訳:川上健一 編集:加藤京子)

 

[北京 14日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

印アダニ・グループ、格下げ方向で見直し フィッチと

ワールド

イスラエル、レバノン停戦案を承認へ 新たにベイルー

ビジネス

賃金上昇とサービスインフレが依然リスク=フィンラン

ビジネス

日本企業、トランプ氏関税に懸念 十倉経団連会長「甚
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老けない食べ方の科学
特集:老けない食べ方の科学
2024年12月 3日号(11/26発売)

脳と体の若さを保ち、健康寿命を延ばす──最新研究に学ぶ「最強の食事法」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳からでも間に合う【最新研究】
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではなく「タイミング」である可能性【最新研究】
  • 4
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 5
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 6
    テイラー・スウィフトの脚は、なぜあんなに光ってい…
  • 7
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 8
    早送りしても手がピクリとも動かない!? ── 新型ミサ…
  • 9
    バルト海の海底ケーブル切断は中国船の破壊工作か
  • 10
    日本株は次の「起爆剤」8兆円の行方に関心...エヌビ…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 5
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 6
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 7
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 8
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 9
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳か…
  • 10
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 6
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 7
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 8
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中