ハイテク温水便座から食堂まで、中国の何でもアリな「供給側改革」
中国のスマートフォンメーカー、小米科技(シャオミ)の雷軍最高経営責任者(CEO)はこのほど記者団に対し、供給側改革は中国企業が輸入品と競合できる製品をつくれるようになることを意味していると述べた。
価格統制を認めることを意味するとの声もある。江西省衛生計画出産委員会の李利主任は、診療報酬引き上げをいかに素早くコントロールするかが供給側改革の典型的な例として挙げた。
しかし、前出のエバンス=プリチャード氏は「これは中央政府が打ち出している供給側改革ではない」と指摘。中国政府は経済活動における政府の役割を減らし、資本主義をより推し進めようとしていると説明する。
全人代代表の方便に
中国政府はこれまで、産業における過剰設備を解消するとともに、新しい産業が必要な資本を獲得できるようにし、市場原理の役割を高めると約束している。一方で、大規模な失業を回避し、国有企業に対する支配を維持するほか、緩和的な金融政策を継続するとしている。
複数の関係筋がロイターに明らかにしたところによると、中国は向こう2─3年で、国有企業で500万─600万人のレイオフを目指している
しかし、全人代の会合では、斜陽産業で数百万人のレイオフが必要なことを説明するのに「供給側改革」の言葉を使用した代表は誰もいない。この言葉のあいまいさは、全人代代表が自らの計画を訴えるための方便として利用されているのかもしれない。
クレディ・スイス(香港)のエコノミスト、陶冬氏は「誰も供給側改革を定義していない。正確な定義を知らなければ、地方政府の定義が間違っているとは言えない」と述べた。
(Sue-Lin Wong記者 執筆協力:Kevin Yao, Xiaoyi Shao and Pete Sweeney 翻訳:川上健一 編集:加藤京子)