トラブル絶えない日本の入管収容所、海外からも人権軽視と厳しい視線
監視役の視察委員会は「批判をかわすための『ガス抜きにすぎない』」との証言も
「私たちの病状は相当に悪化し、最悪の事態になっている」。今年2月10日、大阪入国管理局で、被収容者44人(支援団体発表)が医療などの処遇改善を要求し、集団でハンガーストライキを起こした。写真は東京入国管理局。2015年12月撮影(2016年 ロイター/Yuya Shino)
「私たちの病状は相当に悪化し、最悪の事態になっている」。今年2月10日、大阪入国管理局で、被収容者44人(支援団体発表)が医療などの処遇改善を要求し、集団でハンガーストライキを起こした。ハンストは5日間続き、入管当局の対応への不満が渦巻いている現実を浮き彫りにした。
外部との隔絶、長期の拘禁、見通せない出所時期への不安。被収容者の中には、精神障害や健康悪化が進み、睡眠薬や鎮痛剤などに依存するケースも珍しくない。2014年3月に亡くなったイラン人男性の場合、亡くなった当日に15種類もの薬を処方されていた。
「非常に不健康な収容の仕方であるのは間違いない」。東日本入国管理センターで被収容者を診察している精神科医の野田文隆氏は収容施設の環境について、こう語る。
施設の医療環境だけでなく、被拘束者への職員の対応のあり方も問われている。強制送還中に急死した45歳のガーナ人男性のケースでは、遺族が東京入管職員の過剰な制圧行為が死亡の原因だとして国家賠償を請求。東京高裁が1月18日に遺族の請求を棄却、遺族側が上告している。
こうした批判に対し、法務省当局はどう対応しているのか。岩城光英法相は昨年12月15日の記者会見で、2013年10月から2014年11月までの間に被収容者4人が死亡したことについて、「入国管理局において、適切な医療措置を行ったと報告を受けている」、「当時の体制の下での対応や医療措置になんらかの問題があったとは承知していない」と説明した。
施設での医療システムを見直すべきかどうかについては、「被収容者の人権を尊重しつつ、適正な処遇を行うことができるよう引き続き所要の医療体制の確保に努めたい」と答えた。
視察委員会の監視能力にも限界
世界各地で移民や難民をめぐる問題が噴出し、当局による出入国管理のあり方にも議論が絶えない。日本の現状は国際的にみても先進的とは言い難い、との指摘もある。