トランプとの「お下劣舌戦」で撃沈したルビオ
今週8日に行われた4州の共和党予備選・党員集会のうち、ミシシッピ、ミシガンは、この「3月15日」へ向けての勢いを測定する意味で、重要だった。
結果としてトランプは、この2州を大差で制している。では、「3月15日」へ向けての体制は盤石かというと、必ずしもそうではない。
問題は2位以下の動向にある。まず、一時期は「保守本流の希望」だと思われていたマルコ・ルビオ候補の支持が急落している。今月3日のテレビ討論でトランプから、何度も「リトル・マルコ」と蔑称で呼ばれたが、これに対する処理を誤ったのが決定的だ。トランプはルビオの童顔を揶揄したのだから、それに対する反撃は「重厚な威厳」を発言で示して圧倒する以外にはなかったはずだ。
だがその反対に、ルビオは「トランプの手が小さい」という意味不明の「仕返し」を試みた。これに対してトランプは「いや、あっちは小さくないよ、ノープロブレムだ」という何とも卑猥な切り返しで笑いを取り、ルビオを「一緒に品格のない世界へ引きずり下ろし」た。
この一連のやり取りは、チャレンジャーであるルビオには致命的だろう。大規模州であるミシガン、ミシシッピで、ともに一桁の4位(最下位)というのは、壊滅的と言って良い。ルビオにとっては「起死回生の決戦場」である次週のフロリダでの世論調査も低調な現在、共和党内からは「若く前途のある政治家ゆえに」撤退を促す動きが出ている。
不調に陥ったルビオとは反対に、クルーズは着実に代議員数を稼いでいる。だが、クルーズにも問題が見えてきた。強硬な保守派として、福音派には絶対に強いクルーズだが、「福音派以外での支持」は今回の出口調査で11%と低い(Fox News)。これでは、今後のニューヨークやカリフォルニアなどの大票田ではまったく戦いにならないわけで、クルーズの前途にも暗雲が立ち込めてきた。
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一方で浮上しているのが、ジョン・ケーシック候補だ。当初から、共和党の大統領候補の中では唯一の中道派として、そして良識ある「大人のトーク」を売りにして、完全な泡沫候補状態から一歩一歩支持を伸ばしてきたのだが、今回のミシガンでの2位という結果は大きい。次週の地元オハイオへ向けて勢いが付いたとも言えるし、仮に全国レベルの支持を伸ばしていけば、「トランプを上回る」のは不可能にしても「トランプを止める」存在として存在感を増す可能性も出てきている。
そうは言っても、現時点ではトランプ旋風の勢いは止まらない。一方で、トランプが「品格を気にする」とか、「専門家のブレーンを集める」とか、「共和党の本流の言うことを聞く」という気配はまったくない。依然として共和党の本流としては、トランプを「統一候補にはしたくない」し、共和党の議員団の多くは「トランプを担いで同時選挙はやりたくない」と考えている状態も変わっていない。
来週15日に控えた「クルーシャルチューズデー」、共和党予備選はオハイオとフロリダの戦いで大きなヤマ場を迎える。