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対中輸出

「共倒れ」の呪文が世界に響くがうさんくさい中国経済脅威論

2016年2月22日(月)17時00分
河東哲夫(本誌コラムニスト)

 たとえ中国が米国債を大量に投げ売りしても、日本が買えばいい。03~04年、日本は計40兆円分もの円を売って米国債を購入し (平成の大介入)、アメリカのイラクでの戦費を維持。同時に円安を実現して輸出を増やし、小泉政権下で景気回復を演出した。

 こうして中国経済に関する呪文を検討してみると、中国の対日、対米経済関係が急激に変わる可能性は低い。少なくとも日米に壊滅的打撃を与えることはないと言える。原油など、中国の1次産品の輸入が急減して値崩れを起こし、世界の資金の流れを乱しているが、これはそのうち静まりそうだ。

 むしろ心配なのは香港だ。中国企業が低金利の香港ドルを借りまくって人民元に換え、本土での不動産投機にふけっている。借金の総額は1兆ドルにも及ぶと推定される。ところが香港ドルは米ドルと連動制を取っているため、人民元が下がると香港ドルでの返済額が膨れ上がり、借り手も貸し手も破綻しかねない。

 これを防ごうと中国政府が強権的に米ドルとの連動をやめさせ、香港ドルを人民元と連動させようとするとどうなるか。中国と世界のカネの流れの唯一の窓口である香港の金融市場は混乱し、資本移動は大きく阻害され、香港の存立基盤自体が失われるだろう。

[2016年2月16日号掲載]

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