英国のバンカーが陥るストレス地獄
今年1月31日までの1年間で、シティ内にある専門クリニックでの新たな患者評価は106%増加し、月平均で70人を超える新患登録があった。
「人々は業界の、そして自身のキャリアの大変動に圧倒されている。それにうまく乗れる人もいるかもしれないが、多くは苦しむ。故に精神疾患を発症する可能性が高まることになる」と、精神科医のポール・マクラーレン博士は指摘する。
まもなく発表されるウィリス・タワーズワトソンの調査は、雇用主が考える職場におけるストレスの主要因と、従業員が実際にストレスと感じていることとのギャップを明らかにしている。
世界の約1700社を対象に隔年で実施される同調査で、ワークライフバランスの欠如と過度の組織変更が従業員にとって最大の負担だと、雇用主の5分の4以上が考えていることが分かった。
しかし従業員の69%は、最大の懸念は不適切な人材配置だと回答。給料の低さ(65%)がそれに続いた。
こうしたことから、銀行員の気持ちや士気が大きく回復する見通しは遠いように見える。
「人員を削減し、規模を縮小している業界では非常に困難だ。どこに向かっているのかも分からない。好況と不況が果てしなく繰り返される。とはいえ、現在は、不況の後に、さらに不況が重なる状況だ」と、前述のバンカーは話した。
(Sinead Cruise記者、Anjuli Davies記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)