マイナス金利が引き起こす金融不安、蘇るリーマンショックの悪夢
アムンディ・ジャパン市場経済調査部長の濱崎優氏は「金融緩和など政策対応の余地が狭まっているとみられていることも、市場の不安を増幅させている」と話す。
特に日本では、欧州に比べマイナス金利が金融機関に与える影響が大きいとみられている。「預金量は多い一方、貸出金利は欧州に比べ低い。国債市場は10年長期金利までマイナスに沈み、資金を持っていく場がないのが現状だ」(BNPパリバの中空氏)という。
このため、日銀の追加緩和が必ずしも市場にプラスとは言えなくなっている。現時点では、プラスの評価もあるマイナス金利政策だが、追加緩和によってマイナス金利幅を拡大させれば、金融機関への悪影響も大きくなる。
景気が弱い中では、金利が限界的に低下したからといって貸出を伸ばすのは難しい。追加緩和が金融仲介機能の低下を招き、それが信用不安へと発展してしまう皮肉な結果になる可能性もゼロではなさそうだ。
(伊賀大記 編集:田巻一彦)
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