中国進出の外資企業、景気減速でも巨大マーケットの消費者に熱視線
第4・四半期の中国成長率が前年同期比6.8%に減速したことを受けて、膨大な資本流出、通貨急落、夏の株価暴落など激動の1年となった2015年通年での経済成長は6.9%となった。今年に入って、金融市場ではいっそうボラティリティが増している。
中国国家統計局のデータによれば、12月の鉱工業生産はわずか5.9%の上昇と市場期待を裏切り、景気減速と消費主導の成長へのシフトが、どれだけ産業部門に打撃を与えているかを浮き彫りにした。
対照的に、12月の小売売上高は、これも予想を下回ったとはいえ11.1%と好調だった。
フォード・モーターは第4・四半期の中国事業について好業績を報告しており、12月の売上高は27%増を記録した。
フォードのマーク・フィールズCEOは先月、中国経済は「投資主導、工業主導から消費主導へと移行しつつある。GDPに占める消費の比率を見ても実際に伸びており、よい兆候だ」と述べた。「こうした移行を進めるなかで、多少の動揺は生じるだろう」と加えた。
向かい風
消費財メーカーに中国減速の影響を受けていないわけではなく、市場の不振を報告する企業もあるが、おおむね軽視しているようだ。
米アップルのルカ・マエストリ最高財務責任者(CFO)はロイターの取材に対し、中国経済には「これまでには見られなかった軟調さ」が見られると述べている。
だが同社のティム・クックCEOは、基本的な需要トレンドは力強いとして、中国での投資計画を変更する予定はないと明言する。
「中国のミドルクラスは、2010年には5000万人に満たなかったが、2020年までに約5億人に達すると予想されている。この人口動態は非常に魅力だ」とクックCEOは語る。
フォードやユニリーバといった一部の企業は、中国国内でも先進市場では穏やかな成長を報告している一方で、中小規模の都市では停滞からの回復が見られるとしている。
アイスクリームから清掃用品までさまざまな製品を扱うユニリーバのポール・ポルマンCEOは、「成長を生み出しているのは、大都市というよりも、実は沿岸部の中小都市だ」と話している。
欧米風の消費パターンが広がっていることも企業に恩恵を与えている。仏高級酒類大手レミー・コアントローは、クリスマスのギフト需要が、旧正月市場の重要性の低下を相殺する形で、同社の事業にとってますます重要になっていると指摘する。