中国進出の外資企業、景気減速でも巨大マーケットの消費者に熱視線
消費者向けの商品を扱う外資系企業の多くは通年で売上高が伸びたと報告
2月2日、中国の景気減速は製造業に痛手を与えているが、同国に進出している外資系企業の中でもコーヒーショップ、ハンバーガーショップ、衣料品店などから聞こえる声は明るい。写真は南京で4日、中国の旧正月(春節)の到来を祝うサルのランタンを撮影する人。提供写真(2016年 ロイター)
中国の景気減速は製造業に痛手を与えているが、同国に進出している外資系企業の中でもコーヒーショップ、ハンバーガーショップ、衣料品店などから聞こえる声は明るい。
大手外資系企業のうち、中国事業について投資家向け情報を更新した34社からのコメントや発表をロイターが検証したところ、セクターによって状況が違っている。
34社のうち18社は消費者向けの製品を持っており、そのうち13社は第4・四半期、あるいは通年で売上高が伸びたと報告。売上減少したのは3社、横ばいは2社にすぎない。
だが、調査対象に含まれる工業セクター企業8社のうち、6社は中国事業の不振や、売上高減少に苦しんでいる。
第4・四半期の中国経済成長率は2009年以来最も低い水準となったが、米スターバックス、スウェーデンの製紙大手SCA、アパレル小売大手ヘネス&マウリッツ(H&M)、米マクドナルドは、いずれも順調な成長を見せた。
スターバックスのハワード・シュルツ会長兼最高経営責任者(CEO)は「中国での弊社の成功は、直近の四半期で特に顕著だった」と語る。スターバックスは他の多くの外資系企業と同様、会計上、中国事業の業績を区別していない。
「この四半期、私たちは中国で150店舗をオープンした。創業以来、最も多い開店数だ」と、シュルツCEOは先月の投資家向け電話会議で語った。
米マクドナルドは中国における第4・四半期の既存店売上高が4%増加したと発表。また今年は、同社が進出している市場のなかで最多となる、250店舗以上の出店を予定する。
同社のスティーブ・イースターブルックCEOは先月25日、投資家に対し、「中国という重要な市場のポテンシャルにも、ブランドをいっそう拡大していくために私たちが導入している戦略にも、引き続き自信を持っている」と語った。
紙おむつも手掛けるSCAのマグナス・グロスCEOによれば、中国人口が、村落部の貧困層から都市部の中間層へとシフトするスピードは他の新興国と比較にならないほど速く、同社事業にとって非常に大きなチャンスが生まれているという。
だが、工業セクターの状況はそれほど明るくない。
建機メーカーのキャタピラーや独シーメンスは昨年不振に見舞われた工業セクター企業に属する。エレベーターや冷蔵設備を製造する米ユナイテッド・テクノロジーズは、今年さらに売上高が減少すると予測している。
シーメンスのジョー・カイザーCEOは先週投資家に対し、「短周期ビジネスは、中国における2桁の売上減による影響を受けた」と語った。「中国経済は今後も減速するだろう。持続的な需要関連の回復があるかどうかはまだ分からない」と述べている。
経済の成熟が進む
複数の企業トップは、このように消費者向けセクターと工業セクターとで業績がかい離しているのは、中国経済が工業主導から消費主導へと成熟しつつある正常な兆候だと話している。