小頭症の新生児が急増、ブラジル襲うジカ熱の脅威
ロチャ医師は、障害を持つ子どもが立て続けに生まれることの精神的・経済的コストは計り知れないと訴えている。
こうした乳児の多くは、その後けいれんなどの発作を起こす可能性が高く、生存の確率を高めるためには直ちに脳の刺激療法を受ける必要がある。最近でも、同州では少なくとも12人の小頭症の乳児が死亡している。
さらに、視覚障害や聴覚障害、そして四肢の著しい変形など、他の合併症の例も現われはじめている。
ペルナンブーコ州にわずか5人しかいない神経科医の1人、バネッサ・バン・デル・リンデン氏は、嚥下できない子どもも多く、最も深刻な症例では重篤な呼吸障害が見られると明かす。
同氏は、昨年9月に小頭症の症例が不自然に増えていることに初めて気付き、保健当局に注意を促した医師の一人である。異常は11月になると急増し、彼女が勤務するバラオ・デ・ルセナの老朽化した小児病院では、一晩に3人もの小頭症の子どもが生まれた。
「パニックだった」と、ヴァン・デル・リンデン医師は振り返る。
当時と比べれば、事態は落ち着いてきている。
先週、ペルナンブーコ州全域で新たに報告された小頭症患者は、ピークだった11月下旬の196例に対して、29例にとどまった。最も危機的だった2カ月間、ドラッグストアの棚からは昆虫駆除薬が消えたが、これらの商品も店頭に戻りつつある。
もちろん、多くの人々にとって対応が遅きに失したことは否めない。
料金所で働く27歳のグリーゼ・ケリー・ダ・シルバさんは、昨年4月に発疹、微熱、そして腰痛が3日間ほど続いたという。
そして、10月に生まれた娘のマリア・ジョバンナちゃんは小頭症と診断された。シルバさんは今でも、いつか娘が言葉を話せるようになるという希望を失ってはいないが、いまだに何の治療法も提示できない公的医療機関に対しては、苛立ちを隠さない。
「治療開始が早ければ早いほど、娘のためになる。子どもの数が多いので、もっと大勢の医師が必要だ。母親たちは診療予約を取るにも苦労している」と彼女は語る。
(Anthony Boadle記者)(翻訳:エァクレーレン)。