小頭症の新生児が急増、ブラジル襲うジカ熱の脅威
9月以降にブラジル全土で報告された約3700の小頭症の症例の3分の1以上はペルナンブーコ州に集中しており、現在、同州の病院はその数に圧倒されている。
ブラジル保健省によれば、新たに報告される症例の数は他の地域では増加しているものの、ペルナンブーコ州では減少している。
しかし今回の危機は、小頭症など神経学的な異常を持つ多数の子どもに対し、将来的に特別のケアを必要とする。財政赤字と景気後退によってブラジル政府が公共医療制度の予算を削るなか、すでに赤字に苦しむ病院はさらなる負担を強いられている。
ロチャ医師によれば、レシフェの同病院には毎日5人程度の新たな患者が訪れている。ピークだった11月下旬にはその数は18人にも上ったという。
同医師らは、症例の減少が最悪期の終わりを意味することを期待しているが、このウイルスと合併症について明らかになっていることが極端に少ないため、確信は持てずにいるという。
現時点でジカ熱の治療法はない。ジカ熱に感染すると、通常、軽い発熱と一時的な身体の痛みが生じるが、これらは、昨年ブラジルで160万人が感染し800人以上が死亡したデング熱の、軽微な症状と間違えやすい。
蚊の発生防止を強化するため、ブラジルは兵士を含む何千人もの自治体や州、連邦政府の職員を動員。各都市の蚊の発生源を除去し、燻蒸消毒を行い、メスの蚊が卵を産みやすい淀んだ溜まり水の危険性を住民に周知している。
2月13日には、政府は22万人もの部隊を動員してパンフレットなどを配布、潜在的に危険があると思われる場所を特定する予定だ。
長い闘い
ブラジルで七番目に大きな都市であるレシフェでは、市側が長期戦への備えを固めている。
「今はまだ、問題の大きさがようやく垣間見えた段階だ。この問題は今後何年間も続く可能性がある」と、レシフェの保健福祉官ジェイルソン・コレイア氏は語る。
レシフェは11月、ブラジル連邦政府に対し、危機対応の資金として2900万レアル(約8.8億円)を要請したが、現時点までに支給されたのは130万レアルにとどまる。