最新記事

日本政治

安倍首相周辺で消費税10%延期の声、衆参ダブル選と連動の思惑

2015年12月22日(火)13時02分

 政府が1月4日に通常国会の召集を決めたことで、日程上の懸案もクリアされた。150日間の会期末にあたる6月1日に衆院を解散すると、憲法で規定されている解散から40日以内の選挙実施の条件に、かねて参院選の本命の日時と見られていた7月10日投開票という日程が合致する。安倍首相の手に、衆参ダブル選というカードがもたらされた。

11月26日、3人の経済学者が官邸を訪れた。いずれも大胆な金融緩和と減税を柱とした経済成長を重視するリフレ派の若田部昌澄・早大教授、野口旭・専修大教授、浅田統一郎・中大教授だ。

 この会合に財務省関係者の同席は許されず、マクロ経済政策をめぐって突っ込んだ意見交換があったもようだ。その直後、野口教授と浅田教授はロイターの取材に応じ「物価2%(エネルギー除く日銀版コアコア)と失業率2.7%を達成していなければ増税は延期」(野口氏)、「経済状況がどれほど好転していようと増税すれば物価・成長率ともに下押しする」(浅田氏)と語った。

 それから8日後の今月5日、菅義偉・官房長官は都内の講演で「物価2%と名目GDP(国内総生産)600兆円は、何としてでも達成したい」と力説した。

 政府関係者とのコンタクトが多いある外資系証券の関係者は「菅さんが再び2%に言及したのは、達成できないほど経済が悪いなら、増税は延期というメッセージではないか」(大手外資系証券)と解説してみせた。

ダブル選可能な国会日程

 自民党内には、安倍首相が消費増税の再延期を判断し、その是非を問うために通常国会の会期末・6月1日に衆院を解散し、7月10日に衆参ダブル選に雪崩れ込むというシナリオがささやかれている。

 安倍首相と親しいリフレ派の論客である高橋洋一・嘉悦大教授は、14年の衆院選を消費増税延期の主張で戦って勝利した経緯に触れ、その経験に「味をしめた」可能性があるとみている。

 自民党の谷垣禎一幹事長は11月30日、「いろいろの可能性がある」と述べたが、12月1日には「首相もお決めになっていないと思うし、私もこの時期に解散するとかしないとかということは、まだ全く考えていない」とコメントした。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米ハリケーン、勢力弱める 南東部で少なくとも33人

ワールド

ヒズボラ本部空爆、イスラエルから事前通告なし=米国

ワールド

米国務長官、中国外相と会談 ロシアへの軍事支援など

ビジネス

アングル:欧州のAI規制法、具体的な実施規則が焦点
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:羽生結弦が能登に伝えたい思い
特集:羽生結弦が能登に伝えたい思い
2024年10月 1日号(9/24発売)

被災地支援を続ける羽生結弦が語った、3.11の記憶と震災を生きる意味

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    漫画、アニメの「次」のコンテンツは中国もうらやむ日本の伝統文化? カギは大手メディアが仕掛ける「伝検」
  • 2
    ワーテルローの戦い、発掘で見つかった大量の切断された手足と戦場の記憶
  • 3
    白米が玄米よりもヘルシーに
  • 4
    中国で牛乳受難、国家推奨にもかかわらず消費者はそ…
  • 5
    中国が最大規模の景気刺激策を発表、これで泥沼から…
  • 6
    プーチンと並び立つ「悪」ネタニヤフは、「除け者国…
  • 7
    野原で爆砕...ロシアの防空システム「Buk-M3」破壊の…
  • 8
    「ターフ/TERF」とは何か?...その不快な響きと排他…
  • 9
    爆売れゲーム『黒神話:悟空』も、中国の出世カルチ…
  • 10
    【クイズ】「バッハ(Bach)」はドイツ語でどういう…
  • 1
    キャサリン妃の「外交ファッション」は圧倒的存在感...世界が魅了された5つの瞬間
  • 2
    漫画、アニメの「次」のコンテンツは中国もうらやむ日本の伝統文化? カギは大手メディアが仕掛ける「伝検」
  • 3
    がん治療3本柱の一角「放射線治療」に大革命...がんだけを狙い撃つ、最先端「低侵襲治療」とは?
  • 4
    ワーテルローの戦い、発掘で見つかった大量の切断さ…
  • 5
    白米が玄米よりもヘルシーに
  • 6
    メーガン妃に大打撃、「因縁の一件」とは?...キャサ…
  • 7
    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…
  • 8
    レザーパンツで「女性特有の感染症リスク」が増加...…
  • 9
    NewJeans所属事務所問題で揺れるHYBE、投資指標は韓…
  • 10
    先住民が遺した壁画に「当時の人類が見たはずがない…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 3
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレイグの新髪型が賛否両論...イメチェンの理由は?
  • 4
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 5
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 6
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは.…
  • 7
    「あの頃の思い出が詰まっている...」懐かしのマクド…
  • 8
    中国の製造業に「衰退の兆し」日本が辿った道との3つ…
  • 9
    無数のハムスターが飛行機内で「大脱走」...ハムパニ…
  • 10
    国立西洋美術館『モネ 睡蓮のとき』 鑑賞チケット5組…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中