最新記事

日本政治

安倍首相周辺で消費税10%延期の声、衆参ダブル選と連動の思惑

2015年12月22日(火)13時02分

 解散権を握る安倍首相は5日、「全く考えていない」と答えた。だが、解散に関しては、事前にどんな受け答えをしても「許される」というのが永田町の常識。1986年7月6日の衆参ダブル選の際には、当時の中曽根康弘首相が、事前に何度もダブル選の可能性を否定。後に「死んだふり解散」と呼ばれ、結果は自民党の圧勝。その後、自民党は中曽根総裁の任期を1年延長する党則改正を実行した。

リスクは株安

 金融市場では「増税延期と衆参ダブル選が、円安・株高のエンジン」(外為市場関係者)と期待する声が出ている。

 だが、ダブル選を目指す中で、大きな障害になりかねない事態が発生しつつある。株安現象だ。

 米利上げ後のNY株式市場は調整を続け、日経平均は18日に発表した日銀の量的・質的金融緩和(QQE)の補完策をめぐって乱高下。21日も大幅続落して一時、1万8600円台まで下落した。

 ある国内市場関係者は「衆参ダブル選期待で、来年5月から6月にかけて日経平均が2万2000円から2万3000円まで上昇しているシナリオを描いていたが、様子が違ってきた」と打ち明ける。

 米利上げで中国などの新興国からの資金流出が加速するようなら、原油価格の下落もあいまって市場にリスクオフ心理が台頭。株価は日本だけでなく世界的に下落圧力を受けかねない。

 株価が下落基調に転換した場合、ダブル選戦略は大きな制約を受ける可能性がある。

 消費増税とダブル選をめぐる思惑が、2016年前半の大きな「テーマ」になることは間違いないようだ。

 (竹本能文 梅川崇 取材協力:リンダ・シーグ 編集:田巻一彦)

 

[東京 21日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2015トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

午前の日経平均は反落、トランプ氏の関税方針を嫌気 

ビジネス

ユーロ圏サービスインフレ率、3%に向け鈍化期待=ア

ワールド

アングル:トランプ氏の主な外交方針、NATOやウク

ワールド

原油先物は続落、レバノン停戦合意の可能性受け
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老けない食べ方の科学
特集:老けない食べ方の科学
2024年12月 3日号(11/26発売)

脳と体の若さを保ち、健康寿命を延ばす──最新研究に学ぶ「最強の食事法」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳からでも間に合う【最新研究】
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではなく「タイミング」である可能性【最新研究】
  • 4
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 5
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 6
    テイラー・スウィフトの脚は、なぜあんなに光ってい…
  • 7
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 8
    「典型的なママ脳だね」 ズボンを穿き忘れたまま外出…
  • 9
    日本株は次の「起爆剤」8兆円の行方に関心...エヌビ…
  • 10
    バルト海の海底ケーブル切断は中国船の破壊工作か
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 5
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 6
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 7
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 8
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 9
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 10
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 6
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 7
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 8
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中