「ゲイは献血禁止」差別撤廃へ
エイズ感染予防のための禁止措置を段階的に緩和するフランスの勇気
タブーに挑戦 エイズ予防がゲイ差別につながった Davies and Starr-GETTY IMAGES
ゲイの人々が、新たな平等を手にした。
フランスが先週、ゲイの男性の献血を禁じた規則を段階的に緩和すると発表した。この規則はエイズの感染拡大を防ぐため、83年に導入されたものだ。
来年からは同性愛の男性であっても過去1年間性行為をしていない人は、全血献血ができるようになる。特定のパートナーとだけ性行為をしているか、過去4カ月間性行為をしなかった人は血漿(けっしょう)成分献血ができる。
改定の影響をモニターし、感染が広がらなければ、17年にもう1段階枠を広げる方針だ。
ゲイの献血禁止のルールは、イギリス、アメリカ、オーストラリア、スウェーデンにもある。イギリス(北アイルランドを除く)はゲイとバイセクシュアルの男性の献血を生涯禁じた規則を11年に廃止したが、過去1年間に同性と性行為をした男性の献血は今も禁止されている。
米当局はエイズ患者が確認された77年以降に同性と性行為をした男性の献血を禁じている。米食品医薬品局(FDA)は生涯の禁止を性行為から1年間の禁止にする緩和案を検討中だ。
輸血で4000人が感染したことも
ゲイとバイセクシュアルの男性はエイズ感染の高リスク群に分類されており、イギリスでは17人に1人、ロンドンに限れば8人に1人が感染しているとの報告もある。米疾病対策センター(CDC)によると、ゲイとバイセクシュアルの男性はアメリカの人口の2%にすぎないが、エイズ感染者の6割近くを占めるという。