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歴史問題

中台密談で歴史問題対日共闘――馬英九は心を売るのか?

2015年11月11日(水)18時42分
遠藤 誉(東京福祉大学国際交流センター長)

習近平の対日包囲大戦略

 習近平氏が韓国を抱き込み、そして台湾をも抱き込んで、何としても対日包囲を固め、国際社会において「日本軍の戦争犯罪」を共通認識に持ち込もうと大戦略を練っているというのに、日本の一部のメディアは何を見ているのか。中台トップ会談が初めて公けになった日に、日本の大手テレビ局は特定のチャイナ・ウォッチャーに「中国は南シナ海で緊張を招いているので、せめて台湾問題では融和策を取っているという柔らかい姿勢を世界に見せたいのでしょう」という趣旨のことを言わせ続け、そのコメントに基づいて中台トップ会談を位置づけ解説してきた。

 唖然とする、としか言いようがない。

 ここまで世界情勢が読めず、日本政府の耳に心地よい言葉だけを発信し続けることは、日本の国民を守ることにつながるのだろうか?

 それは結果的に日本の国益をさえ損ねるのではないのか?

 このようなことを繰り返しているから、日本外交は中国にしてやられるような失敗ばかりを重ねているのである。中国の戦略と外交を鋭く見抜く目を養い、勇気をもって真実を発信する姿勢を望みたい。

 なお、日中戦争において、中共軍が何をしたのかに関しては、11月13日に出版する『毛沢東 日本軍と共謀した男』に詳述した。中台の共同研究が拙著に書いてある真実を直視できることを切に望む。同時に日本国民もまた、中共が創った土俵で物を考えずに、そして中国が怒るのではないかなどと気を遣わずに、真実を見る勇気を持ってほしい。さもなければ、負のスパイラルを断つことはできず、日本はまたしても、気がつけば中国の思う壺にはまっているようなことになる。それだけは防ぎたい。

[執筆者]
遠藤 誉

1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など著書多数。近著に『毛沢東 日本軍と共謀した男』

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

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