最新記事

ネット

個人情報1億件の米サイバー犯罪で3人起訴、JPモルガンも標的

株価操作からマネーロンダリング、果てはオンラインカジノの運営まで、ダークネットの巣窟のよう

2015年11月11日(水)14時13分

11月10日、米検察当局は米金融大手JPモルガン・チェースなどに大規模なサイバー攻撃を仕掛け、不正に数億ドルの利益を得たとして、イスラエル国籍の男3人を起訴したと発表した。写真はニューヨークのJPモルガン・チェース本店、2013年9月撮影(2015年 ロイター/Mike Segar)

 米検察当局は10日、米金融大手JPモルガン・チェースなどに大規模なサイバー攻撃を仕掛け、不正に数億ドルの利益を得たとして、イスラエル国籍の男3人を起訴したと発表した。

 当局によると、ジェリー・シャロン(31)、ジョシュア・サミュエル・アーロン(31)、ジブ・オレンスタイン(40)の3被告は12企業を狙ったサイバー攻撃で、2007年以降に1億人以上の個人情報を盗んだ。罪状は23に上る。シャロン被告とオレンスタイン被告は7月に逮捕されたが、アーロン被告はまだ拘束されていない。

 被告らは株価のつり上げ、インターネット上のカジノ運営、犯罪組織向けの支払い手続き、資金洗浄などを行った罪で起訴されている。JPモルガンの顧客情報8300万件が流出した2014年のサイバー攻撃も含まれるという。

 JPモルガンは10日、今回の起訴が14年の攻撃に関連したものだと認め、サイバー犯罪への対応で当局との協力を続けていくと表明した。

 リンチ米司法長官は、今回のサイバー攻撃が「金融関連データの盗難としては過去最大規模の一つ」だったと述べた。

 シャロン被告とアーロン被告がエジプトのサーバーを使ってハッキングを行ったという。

 また、両被告と別のもう1人の被告は、米オンライン証券大手イー・トレード・ファイナンシャルやスコットトレードから1000万人以上の顧客の情報を不正に入手したとして起訴された。

 TDアメリトレード・ホールディングと、ウォール・ストリート・ジャーナル紙を発行するダウ・ジョーンズも、サイバー攻撃の対象となったほか、事情に詳しい関係筋によると、米投資信託大手フィデリティ・インベストメンツも標的になったという。

 

[ニューヨーク 10日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2015トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

トランプ関税巡る市場の懸念後退 猶予期間設定で発動

ビジネス

米経済に「スタグフレーション」リスク=セントルイス

ビジネス

金、今年10度目の最高値更新 貿易戦争への懸念で安

ビジネス

アトランタ連銀総裁、年内0.5%利下げ予想 広範な
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 5
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 6
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 7
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 8
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 9
    トランプ政権の外圧で「欧州経済は回復」、日本経済…
  • 10
    ロシアは既に窮地にある...西側がなぜか「見て見ぬふ…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 5
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 6
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    週に75分の「早歩き」で寿命は2年延びる...スーパー…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 6
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 7
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中