ポーランド右傾化で高まるEUとの対立懸念
難民受け入れ反対の保守系野党「法と正義」が圧勝、8年ぶりの政権交代へ
10月26日、ポーランドで25日に実施された総選挙で、欧州連合に懐疑的な姿勢を示し、難民受け入れに反対する保守系野党「法と正義(PiS)」が圧勝し8年ぶりに政権交代する見通しとなったことを受け、EU指導部に懸念が広がっている。ワルシャワで2011年6月撮影(2015年 ロイター/Kacper Pempel)
ポーランドで25日に実施された総選挙で、欧州連合(EU)に懐疑的な姿勢を示し、難民受け入れに反対する保守系野党「法と正義(PiS)」が圧勝し8年ぶりに政権交代する見通しとなったことを受け、EU指導部に懸念が広がっている。
ポーランドは2004年にEUに加盟したが、法と正義が2005─07年に政権を担っていた当時、ポーランドがリスボン条約に反対し批准を遅らせたことや、域内での議決権拡大を要求したことなどをEUは忘れていない。
EU当局者は「状況は一段と厳しくなるだろう」と指摘した。
欧州では多くの国で反移民感情の高まりを背景に、極右のポピュリスト(大衆迎合的)政党への支持が急拡大しており、難民の大量流入が続いた場合、他の国でも政権交代につながる恐れがある。
法と正義のカチンスキ党首は、穏やかな口調のシドゥウォ副党首を首相に指名したが、権力を維持してEUに戦いを挑む見通しだ。
焦点となる難民問題だけでなく、ユーロや財政政策、中央銀行の独立性、気候変動、エネルギー政策、人権などの問題でもポーランドとEUは対立する可能性がある。
EU当局者によると、ポーランド新政権は、同国とチェコ、スロバキア、ハンガリーの4カ国(ビシェグラード4カ国)にルーマニア、ブルガリアを加えて中東欧諸国を総動員し、欧州委員会が計画する難民受け入れ枠の義務化に反対する可能性もあるという。
ハンガリー首相の政策がモデルか
法と正義は、今後4年間にユーロを導入することはないとの立場で、銀行やスーパーマーケットチェーンへの新税導入によって社会的支出の拡大を賄う方針を表明している。これはハンガリーのオルバン首相が取った措置に似ている。