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中英関係

習近平主席訪英の思惑――「一帯一路」の終点

2015年10月19日(月)15時05分
遠藤 誉(東京福祉大学国際交流センター長)

 今年4月22日には北京で「華龍一号」(中国が開発した原子力発電第三代ブランド)がイギリスにおいて着工される運びとなった祝賀会が開催されたが、そのときに中国側は「海のシルクロードの始点は福建で、終点はイギリスだ」と述べている。

 インドネシアの高速鉄道を手に入れただけでなく、中国は原発を始めてEUに輸出する国となり、AIIBと一帯一路により「実需」で地球儀の半分を固めていくことになる。

 日本には「中国を普遍的価値観を共有するTPPに誘い込む」といった夢を語る人もいるが、中国は経済連携では壮大な戦略を描いても、決して普遍的価値観を論じるような世界には入らない。

 日本に対して歴史カードを高く掲げ、歴史認識問題を国際社会の共通認識にしようとしている「思想闘争」も、実はこの訪英と無関係ではない。日米関係が緊密である日本をターゲットにしてアメリカを困らせTPP構想を切り崩すのと同じように、普遍的価値観を要求してこないイギリスに対して、AIIBや一帯一路で広大な経済連携体を構成して、TPPに対抗しようとしているのである。

 金融センターには透明性や民主がなければならないが、しかしイギリスの金融街シティを仲介しながら人民元の国際化を図るという戦略がいま進みつつある。

 これはキャメロン首相がCCTVの取材に答えているように、互利互恵の関係により発展する可能性を否定できない。

[執筆者]
遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など著書多数

※当記事はYahoo!ニュース個人からの転載です。

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