最新記事

捕鯨

北欧伝統の「クジラ追い込み漁」が始まった

2015年6月26日(金)13時30分
フェリシティ・ケーポン

dokusenus100615-2.jpg

殺されたクジラの血で湾内の海面が赤く染まっている
Andrija Ilic-REUTERS

「我々の願いは、思いやりが残酷さを打ち負かすこと――。フェロー諸島の美しい湾や海岸が、高度の知性と感情を持ち、社会性の高い哺乳類の血で赤く染まるのを食い止めることだ」と、シーシェパードはホームページで説明している。

 同グループのイギリス支部長を務めるロバート・リードは、「鯨肉が必要な程、飢えているフェロー諸島の住民はいない」と主張する。「grindadrap」は国家的な名誉あるスポーツだが、世界中で行われている他の多くの漁とは違い、クジラやイルカは逃げることができない。イルカの群れがいれば、1頭残らず殺してしまう。特定の遺伝子をもつ一団が全滅する」

 しかし多くの地元住民は、このクジラ漁は食べ物の重要な供給源であり、プライドの源泉でもあると反発する。grindadrapに参加する28歳の若者は昨年、「ナショナルジオグラフィック」の取材に対し、「我々の生き方を守るのは大切なことだ」と答えている。そして「(反捕鯨活動家の)連中があれをしろ、これをするなと命じること」に怒りを感じると言った。

 シーシェパードのリードによると、2013年には全部で1534頭のゴンドウクジラとイルカが殺され、1日に340頭のタイセイヨウカマイルカが殺された日もあった。

 昨年、陸上で漁を妨害して14人の逮捕者を出したシーシェパードは、今年は主に海上で活動することにしている。クジラやイルカが沖合にいる間に、島に近づかないように誘導する計画だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 5
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 8
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 10
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中