中国の大気汚染のうれしい「副作用」
政府が素早く打ち出した改革案
次に問題となったのは、13年1月に北京で起きた大気汚染。その汚染濃度は、WHO(世界保健機関)が安全と定める基準の40倍以上にも達した。英エコノミスト誌は同年8月の記事で、これが中国の環境問題の転換点になったとした。「この大災害は、環境に関する国内の議論に新たな緊急性をもたらした。......6月半ばからの3週間で、政府は大気汚染を制限するための一連の改革を発表した」
排出権取引を行う炭素市場が中国で初めて生まれ、環境関連の犯罪を告発しやすくなった。中国企業と政府は今後5年間で、大気を奇麗にするために2750億ドルを投じると、エコノミストは書いた。
13年9月には、大気汚染防止行動計画を発表。中国の指導者たちは、大気汚染は成長の副作用などではなく、成長への脅威になると考え始めた。
われわれは地球温暖化の壊滅的影響を回避するまで、時間をかけ過ぎたようだ。それでもまだ、痛手を減らす努力をする価値はある。最大のCO2排出国がこの問題を真剣に考えるのは、世界のためにもなる。
危険な大気汚染は、中国が石炭消費と温室効果ガスの問題に熱心に取り組むきっかけになった。そうだとしたら、気候変動との闘いにおける最高の出来事の1つといえるかもしれない。
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[2014年12月 2日号掲載]