アメリカ離れを加速させるサウジの不信と不満
イエメンという追い打ち
態度の変化は経済面にも及んでいる。米通商代表部(USTR)によれば、アメリカの対サウジアラビア輸出総額は12年に250億ドルだったが、13年には190億ドルに減少。一因は、サウジアラビアの自動車輸入先がアメリカから中国へシフトしていることにあるという。
原油価格が下落する今も、サウジアラビアは生産レベルを維持している。原油安容認の狙いは、シリアを支援する産油国イランやロシアに打撃を与えることだけなく、米シェールオイル業界の競争力をそぐことにある。
両国にとって新たな試練となるのが、サウジアラビアの隣国イエメンの情勢だ。1月下旬、クーデターで親米政権を倒したイスラム教シーア派武装組織ホーシー派は、イランから支援を受けているとされる。イエメンがさらに混乱すれば、同国を拠点とするアルカイダ系テロ組織の台頭を招く恐れもある。
米プリンストン大学のバーナード・ヘイカル教授(中近東学)は、サルマン国王とホーシー派の対話にオバマが一役買うことを期待する。「イエメン内のあらゆる勢力との接触をサウジアラビアに促せば、アメリカは極めて生産的な役割を果たせる」と、ヘイカルは米ラジオ局に語った。「イエメンの安定化に貢献できるだろう」
問題は、サウジアラビアがオバマを信頼できるかどうかだ。
[2015年2月10日号掲載]