ギリシャだけじゃない! 欧州で極左が大躍進
ポデモスは経済政策を作成している段階だが、既にいくつかの提案をしている。例えば選択的債務不履行や「戦略的」企業の国有化、退職年齢の50歳への引き下げ、富裕層への課税を財源とするベーシックインカム(全国民に最低限所得額を現金で支給する制度)の導入だ。
共産党の活動家だったイグレシアスは急進左派のベネズエラ前大統領、故ウゴ・チャベスの政策に共感している。
エル・パイスによれば、イグレシアスらポデモスの党員が理事を務めていた基金は、12年までの10年間にチャベス政権から計460万ドルを受け取っていた(ポデモス側はイグレシアスらが複数の中南米国で顧問を務めたことを認めつつ、外国政府の党への資金提供は否定)。
主流派が犯した「過ち」
ポデモスが次の総選挙で最多票を獲得したとしても、世論調査を見る限り単独過半数は望めない。つまり政権を取るには、忌み嫌う主流派政党と連立を組む必要がある。あるいは主流派政党が一致団結して、ポデモスが与党になる事態を阻止しようとするかもしれない。
経済危機はギリシャやイタリアで、天敵のはずの主流派左派と右派が手を組む政権を誕生させてきた。ドイツでも、アンゲラ・メルケル首相率いる中道右派のキリスト教民主同盟(CDU)が、中道左派の社会民主党(SPD)と連立している。
とはいえ、こうした「大連立」は危険だという声も多い。主流派政党はどこも同じ、代わりの選択肢は極左か極右しかないという見方を助長し、結果的に急進勢力に支持が集まることになるからだ。
「大連立はスペインの民主主義にとって害になるだろう」と、社会労働党のペドロ・サンチェス党首は言う。42歳と若く、イグレシアス同様にジーンズを好む(髪は短いが)サンチェスが、党首に就任したのは14年7月。党の人気を回復し、ポデモスの脅威を抑え込めると期待されてのことだった。
結局のところ、勝負の決め手は「見た目」なのかもしれない。
From GlobalPost.com特約
[2014年12月 9日号掲載]