ギリシャだけじゃない! 欧州で極左が大躍進
反逆者的なイメージが魅力
そうした左派的「ばらまき」に、市場は震え上がっている。ギリシャでは14年10月、次の総選挙で急進左派連合が政権を取るのではないかとの懸念から株価が急落し、ギリシャ国債の利回りが上昇。急進左派連合のアレクシス・ツィプラス党首(40)が、かつて財政危機の支援策合意の破棄を訴えたことから、ギリシャのユーロ圏離脱というシナリオが再浮上した。
躍進が特に目立つのはポデモスだ。同党誕生のきっかけは、11年の経済危機のさなかに行われた緊縮財政への抗議デモ。14年1月に結党されたばかりだが、4カ月後の欧州議会選挙で5議席を獲得した。11月初めにエル・パイス紙が発表した世論調査での支持率は27・7%で、政界を30年以上にわたって支配する2大政党、中道右派の現与党・国民党と中道左派のスペイン社会労働党を上回った。
人気を後押ししているのは王族や企業経営者、主流派政治家の相次ぐ汚職スキャンダルだ。低迷するスペイン経済も左派に味方している。成長率はこの数カ月、わずかながら持ち直しているものの、数百万人が失業中。とりわけ苦しいのは若年層で、25歳未満の失業率はEU最高の54%に達する。
不満を抱える若者は、ポデモスの反逆者的イメージに魅力を感じている。スーツばかりのマリアノ・ラホイ首相と違って、ポニーテールにひげ姿のイグレシアスはジーンズが定番だ。
SNSを活用したイメージづくりもうまい。イグレシアスはフェイスブックで、スペイン政治をテレビドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』に例えた。
「リトルフィンガーという(貴族出身の)悪賢い登場人物は、世界が恵まれた家に生まれた者と、苦労して生きる者から成る場所であることを思い出させてくれる」
最大の弱点は経済政策?
ポデモスはヨーロッパ各国の極左政党と同じく、見た目ばかりで中身がないとの批判もある。特に問われているのが経済政策の信頼度だ。
経済危機の原因をめぐっては、極左の見方は極右とほぼ同じ。犯人はEUの官僚主義と金融関係者、というわけだ。
「ポデモスが政権与党になったら、JPモルガン(米銀行大手)はスペイン政府に電話で指図できなくなる」と、イグレシアスは先日スペインのテレビ局に語った。「われわれの経済政策を決めるのは、スペイン国債に投機する投資銀行ではない」