ライオンが首をつるジャワ島「死の動物園」
一方、市に経営を任せても動物の受難は終わらないと危ぶむ声もある。インドネシア動物園協会のトニー・スマンパウ会長は市に経営権が渡る前の一時期、飼育係を統率していた。檻は過密状態で、餌は腐り、100年前の施設が使われ、データ管理はずさん。何より深刻なのは、有能なスタッフの不在だった。
「専門家が必要だと説明しても、園側は理解しない。今のところ、専門知識を持つ職員はゼロだ」とスマンパウは言い、経営者として市は不適格だと主張する。
世界動物保護協会のヤン・シュミットブルバッハ上級顧問によれば、資金や人材不足のせいで適切な飼育環境が保てない動物園はアジア中にある。
来園者が檻の中にごみを投げ入れるのを禁じるといった常識的な対策さえ講じられていない。2年前、スラバヤ動物園で死んだキリンの腹部から、20・ものプラスチックが発見された。来園者が放り投げていたごみを何年にもわたり食べていたらしい。
動物園をサーカスと勘違いする管理者が多いのも問題だ。「オランウータンに芸をさせても動物保護の役には立たないし、来園者の教育にもならない」と、シュミットブルバッハは嘆く。
インドネシアのタル・ジュラグ動物園では12年、あるオランウータンが禁煙のために隔離された。9年前から、面白い写真を撮ろうと、来園者が檻に投げ入れたたばこを吸っていたのだ。
スラバヤ動物園は「国際基準を満たすことができる」と、市は自信満々だ。だが2月に行われるはずだった国際専門家チームによる調査は拒んだ。今後も受け入れる予定はないようだ。
From GlobalPost.com特約
[2014年3月25日号掲載]