最新記事

航空

海賊版大国、中国は旅客機までコピー?

2014年3月17日(月)11時51分
ヒュー・ギャラガー

あるパイロットの目撃談

 13年6月10日には、限界に達したかのように事故が続いた。まずインドネシアで緊急着陸した際に、機体が真っ二つに割れた。その後ミャンマー(ビルマ)で、滑走路をオーバーランする事故が発生。どちらも死者は出なかったが、ミャンマーはMA60の運航を中止した。

 13年夏、筆者はバンコクのバーでジェット機のパイロットと酒を飲んだ。アメリカ人の彼を、ここではマイケルとしよう。マイケルは各界の重要人物を乗せてアジアの空をしょっちゅう飛び、あらゆる場所を訪れて奇妙な体験をしている。その1つが1年ほど前のフライトだった。

 その晩、マイケルは「金属屋」を乗せてシンガポールからある場所に飛んだ。到着したのは巨大な格納庫で、中に8機の飛行機があった。機体は塗装前のような緑色。4機は解体され、部品が広々とした格納庫の床に並べられていた。

 シンガポールの金属屋は飛行機から飛び降りると、海賊版の製造にいそしむ中国人エンジニアと作業を始めた。彼らは分度器や定規、スマートフォンを手に、ばらばらになった部品を測っていく。彼は金属合成物を分析するために雇われたのだ。

 こうした問題に打つ手はあまりない。海賊版はいわば中国のお家芸だからだ。公平を期して言えば、故障を起こしているのは中国の飛行機だけでもない。

 13年はボーイングの787ドリームライナーにとって悪夢の年だった。1月には、リチウムイオン・バッテリーのトラブルにより、世界中で全機体が運航停止となった。このトラブルは解決されたが、解消し切れない欠陥も残っている。

 13年7月、ロンドンのヒースロー国際空港でエチオピア航空の787の機内で火災が発生し、滑走路が一時閉鎖された。8月と10月には日本航空の2機がトラブルのため途中で引き返し、ノルウェー航空でも9月に電気系統の異常が発生し、飛行を停止している。

 こうなったら、中国が完璧な性能もコピーしてくれるよう期待するしかない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=小反落、ダウ155ドル安 関税巡る不

ビジネス

ユナイテッド航空、第2四半期見通し予想下回る 景気

ワールド

米、メキシコ麻薬カルテルのリーダーに制裁 情報提供

ビジネス

NY外為市場=ドルが対ユーロ・円で上昇、関税巡り慎
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気ではない」
  • 2
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ印がある」説が話題...「インディゴチルドレン?」
  • 3
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 4
    NASAが監視する直径150メートル超えの「潜在的に危険…
  • 5
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 6
    【クイズ】世界で2番目に「話者の多い言語」は?
  • 7
    「世界で最も嫌われている国」ランキングを発表...日…
  • 8
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 9
    そんなにむしって大丈夫? 昼寝中の猫から毛を「引…
  • 10
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 1
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 2
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 3
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止するための戦い...膨れ上がった「腐敗」の実態
  • 4
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 5
    「ただ愛する男性と一緒にいたいだけ!」77歳になっ…
  • 6
    投資の神様ウォーレン・バフェットが世界株安に勝っ…
  • 7
    コメ不足なのに「減反」をやめようとしない理由...政治…
  • 8
    まもなく日本を襲う「身寄りのない高齢者」の爆発的…
  • 9
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 10
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 7
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中