ソチ五輪、腐敗度では文句なしの金メダル
アルカージイが経営するエネルギー企業も、五輪会場への電力供給を強化するために8億5630万ドルでガス供給網の建設を受注している。だがナワルニーの分析によれば当初予算のほぼ2倍。彼が共同経営する大手建設会社は五輪会場まで約50キロの道路建設を87億ドルで受注しているが、4年前のバンクーバー五輪の総費用が約90億ドルであったことを考えると桁外れの額だ。
さらに、アルカージイの別の会社はソチ五輪の会場付近にF1専用サーキットを建設中だ。費用の4億ドルはオリンピック予算から出ているが、このサーキットが五輪で使用されることはない。
「友情が人を傷つけることはない」と、アルカージイはかつてプーチンについて語ったことがある。「私は彼を大変尊敬しているし、神がこの国に遣わした人間だと考えている」
ロシア社会が汚職まみれなのは今に始まったことではない。12年のウラジオストクでのAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議の会場建設費は200億ドルで開催地のルースキー島には10億ドルを掛けて世界最長のつり橋が架けられた。だが島の人口は5000人に満たない。
ソチ五輪はAPECよりずっと壮大なプロジェクト。ロシア事情に詳しいニューヨーク大学のマーク・ガレオッティ教授に言わせると、プーチンとその一味が「こぞって公金を横領するには理想的な環境」のようだ。
[2014年2月11日号掲載]