最新記事

化学兵器

シリアにガスマスクを売ろうとした北朝鮮の罪

化学兵器使用を否定するアサド大統領に突き付けられた決定的証拠

2013年8月29日(木)16時08分
ジェフリー・ケイン

汚い戦争 化学兵器使用の疑い強まるシリア(写真は毒ガスを警戒する反体制軍) Abdalghne Karoof-Reuters

 今月27日、北朝鮮報道で知られる産経新聞が衝撃の記事を掲載した。4月にトルコ当局が近海を航行するリビア船籍の貨物船を捜索したところ、ガスマスク、弾丸3万発、ライフルと短銃計1400丁を北朝鮮から運んできたことが発覚したのだ。船長によると、トルコ経由でシリアに向かう途中だったという。

 オバマ米大統領が中東での軍事行動を検討する矢先の報道だった。実際、アメリカ政府はシリアのアサド政権が先週ダマスカス郊外で化学兵器を使ったという証拠があると述べている。

 国連制裁の下で、北朝鮮は兵器輸出を禁じられている。韓国の軍事専門家の申寅均(シン・インキュン)はロサンゼルス・タイムズ紙でガスマスクは軍事用と指摘した上で、その輸出は「シリア政府による化学兵器使用の意図」を示していると述べた。

 先日も未確認情報ながら、北朝鮮の軍事顧問11人ないしは15人がシリアで軍事作戦を行っているとの報道があった。国連は2010年の報告で、北朝鮮が核と弾道ミサイルの技術をシリアとイランに供与したと非難したことさえある。

 さかのぼれば北朝鮮とシリアは70年代以来、軍事協力の歴史がある。その意味では密輸の報道は必ずしも驚くべきことではないのかもしれない。

From GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 10
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中