中国からガイジンをつまみ出せ!?
二級市民扱いに憤る地元住民
文化大革命の間、政府は外国人を非難していたが、80年代に経済改革が始まると突然「外国人を特別なゲストに格上げした」と洪は言う。外国人専用の店やホテルができ、中国人は二級市民の感覚を味わった。
結果として今でも外国人をVIP扱いする傾向がある。交通違反をしても、外国人はおとがめなしになりがちだ。中国が豊かになったので、外国人と対等な扱いを望む人は多い。
さらに国内の経済格差によって生み出された特権階級に対する恨みが裕福と見なされている外国人にも投影され、外国人の悪事に対する怒りが盛り上がる、と洪は言う。「過去には外国人へのもてなしを義務付けられた時期もある。そういう記憶があるから、外国人とうまく付き合えない」
中国に暮らす外国人の数は100万人程度と比較的少ないが、主要都市ではかなり多くなってきている。外国人が増えるにつれ、中国人はあらゆる種類の外国人との付き合い方を覚えなくてはならないだろう。
人種という問題の扱い方も見直す必要がありそうだ。今の中国は二重国籍を認めておらず、民族的に中国人であれば外国籍でも「中国人」と見なしがちだ。そこで問題になるのは、国際結婚で生まれた子供に国がどう対処するかだ。上海だけでも2万7000人の中国人が外国人と結婚しており、その子供たちは今も「混血」呼ばわりされている(ただし最近では、混血の子のほうが「頭がいい」とか「きれいだ」とかいう評価も増えてきている)。
北京理工大学の胡教授は、中国人と外国人との関係は「よくなるはずだ。社会がもっと成熟し、外国人を歓迎するようになると思う」と言いつつも、人種差別を禁じる法律があれば役に立つと指摘した。
いずれにせよ、まずは当局が楊に指示するべきだ。中国の国際的なイメージを改善するために英語で世界に発信する番組のホスト役であるからには、今後は「クズ外人」といった表現は避けるように、と。
[2012年8月29日号掲載]