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オリンピック金メダルラッシュの北が貫く自主ルール
すでに4つの金メダルを獲得した北朝鮮、快進撃の秘密は将軍様のご加護でも人種的優位性でもない
絶好調 女子柔道52キロ級のアン・クメ選手は北朝鮮に金メダル第1号をもたらした Darren Staples-Reuters
ロンドンオリンピック前半のメダル獲得レース最大のサプライズは、北朝鮮の快進撃だろう。
8月1日までに合計5個のメダルを獲得したが、そのうち4個が金メダル(女子柔道と重量挙げ)。金メダルの数だけで比較すれば世界5位だ。
人民の多くが飢えに苦しむ北朝鮮のスポーツ選手が、なぜこれほど活躍できるのか?
重量挙げ男子56キロ級で自身の体重の3倍に当たる168キロを持ち上げ、世界タイ記録で金メダルに輝いたオム・ユンチョル選手(20)に言わせれば、すべては昨年末に死去した元最高指導者、金正日のおかげらしい。「偉大なる指導者、金正日同志が見守ってくれていた」とオムは語っている。
将軍様のご加護があったかどうかはともかく、米露対立が激化した冷戦時代、政治的イデオロギーの強い国がスポーツ強化に分不相応の予算を投入するケースは少なくなかった。北朝鮮のオリンピック選手は明らかに、日々の食事に事欠く大多数の国民より恵まれた栄養状態にある。
ただし北朝鮮問題に詳しいブライアン・マイヤーズは英ガーディアン紙に対し、スポーツでの成果は北朝鮮が自国の優位性を誇示する際の中核の要素ではない、と指摘している。
「ナチスドイツは、アーリア人種(ゲルマン人)が道徳と知性だけでなく肉体的にも他民族より優れていると主張した。それとは対照的に、北朝鮮は道徳面での優位性しか強調しない。金メダルを取れない種目が多くても、北朝鮮にとっては大した問題ではない。もしいくつかでも金メダルを取れれば、それを自分たちが道徳的に優れている証しだと主張し、選手たちは自分を鼓舞してくれた指導者に感謝する」
年齢詐称もドーピングもあり?
それよりも心配なのは、競技に対する北朝鮮の姿勢だ。5月に平壌で開かれたセミナーで、あるスピーカーは北朝鮮が「すべての競技で北朝鮮方式のルールと方針を貫く」べきだと語った。
おそらくこの「北朝鮮方式」が、重量挙げにも適用されたのだろう。北朝鮮代表のオムは昨年の世界ランキング11位という有力選手だが、あえてランキング下位の選手が中心の午前中のBグループでの競技することを選んだ。8時間後に競技に臨んだ上位グループの選手たちは、カメラのフラッシュを浴びながらオムが出した世界記録に立ち向かわなければならなかった。
核兵器をちらつかせた交渉が得意な北朝鮮だけに、ロンドン五輪で他にもさまざまな駆け引きをしないとも限らない。北朝鮮の女子体操チームは2年前、選手2人が年齢を詐称。そのペナルティーでロンドンでは団体戦に出場できなかった。
昨年のワールドカップ女子サッカーでは、北朝鮮の選手5人がドーピング検査でステロイド(筋肉増強剤)の陽性反応が出た。それでも、北朝鮮の担当者は「落雷に遭った選手の治療に漢方薬のジャコウを使っただけ」と強弁した。
ロンドンで北朝鮮の女子サッカーチームを待ち受けた最大の障害は、初戦の試合前の選手紹介で誤って韓国国旗が画面に映し出されたことだろう。選手を奮起させるために北朝鮮政府が企んだ作戦かもしれないって?
さすがにそれはないだろう。でも念のため、国旗掲揚のポールを注意して見ていることにしよう。
From GlobalPost.com