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イギリス

キャメロンはマードックと共倒れしない

2011年7月25日(月)19時55分
マイケル・ゴールドファーブ

議会の夏休み入りもキャメロンにはプラス

 もっとも、マスコミの反応は好意的とは言い難い。衛星放送BスカイBの買収計画をめぐって、ブルックスと交わした会話を認めようとしないキャメロンの曖昧な言い回しを、メディアはこぞって分析している。ブルックスを含むニューズ・インターナショナルの上層部と買収について議論したことがあるかという質問は審議中に7回飛び出したが、キャメロンは会話に「不適切な内容」はなかったと繰り返すだけ。私は4回目まで、買収について話したことをキャメロンが認めているという事実に気付かなかった。

 一連の事件は証明できない事柄があまりにも多く、真相は霧の中だ。ベトナム戦争での虐殺事件を暴いたジャーナリスト、シーモア・ハーシュや、ウォーターゲート事件の調査報道で知られるボブ・ウッドワードの愛読者は、苛立ちのあまり本を壁に投げつけるところだろう。イギリス国民も同じ気持ちかもしれない。

 さらにキャメロンにとって幸運なのは、20日の審議の後に議会が夏休みに入ったこと。その間も警察による捜査と逮捕者らの司法手続きは行われるが、事態の進展には数週間かかるだろう。

 イギリスの大手ブックメーカー、ウィリアム・ヒルは18日、「キャメロンが週内に辞任する」という予想に16倍のオッズをつけたが、21日には賭けを取り下げた。キャメロンの危機はひとまず峠を越したようだ。
  
GlobalPost.com特約

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