ベトナムvs中国、南シナ海バトルの行方
アメリカが介入する可能性は低いが
問題は地域内に留まらなくなっている。ベトナムが国際的な支持を求める一方、中国は6月14日に他国、特にアメリカが余計な口出しをしないようクギを刺した。中国外務省の広報官、洪磊(ホン・レイ)は、この海に対する中国の立場は「明確で一貫している」と語った。「南シナ海を巡る論争に無関係の国々には、関係諸国が直接交渉で問題解決しようとする努力を尊重してほしい」
清華大学国際問題研究所長(北京)の閻学通(イェン・シュエトン)は、アメリカがこの問題を刺激する行動に出れば、米中関係に悪影響を及ぼすだけだと語った。南シナ海問題によって、6月に予定されているヒラリー・クリントン米国務長官の訪中はさらに重要性を増すだろう。「現段階では、アメリカがこの問題に介入しすぎることはないだろう」と、閻は話す。
南シナ海問題の専門家であるアモイ大学のリー・ジミンも、この意見に賛成だ。「落ち着いて二国間協議を行うべきだ。周辺国は平和を念頭に置くべきだ。状況がさらに緊迫すれば誰も得をしない」と、リーは言う。「多国間協議は状況をさらに複雑にするだけだ。アメリカにできることはあまりない」
中国の一貫性のないメッセージのせいで、対立がさらに深まるとみる専門家もいる。カーネギー国際平和財団の裴明欣(ペイ・ ミンシン)は外交専門誌ディプロマットで、対立は「激化に危険なほど近づいている」と書いている。
「現時点で、ベトナムとの醜く危険をはらんだ衝突は中国が最も望んでいないものだ」と、裴は論じる。「だが同時に中国政府には、領有権問題では妥協しないことを示す必要性もある」